NHK連続テレビ小説『わろてんか』、2017年11月9日放送の34話は寄席小屋入手作戦の最終局面でした。それとアサリと御寮人さんの関係が何だか怪しかったです。
以下、最新話のネタバレ要素がありますので、バレても構わない方のみ下方スクロールをお願いします。
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『わろてんか』第6週「ふたりの夢の寄席」
2017年11月6日月曜日から朝ドラ『わろてんか』は第6週「ふたりの夢の寄席」の放送が始まっています。
『わろてんか』の時代設定は幼少期が明治35年(1902年)でしたから、第6週現在はそれから10年後、明治45年ほどでしょうか。
本作のヒロイン「藤岡てん(ふじおか・てん、演:葵わかな)」は17歳です。「てん」は幼少期に京都の「薬祭り」で出会った大阪の旅芸人一座の芸人「北村藤吉(きたむら・とうきち、演:松坂桃李)」と恋に落ち、藤吉の実家のある大阪は船場(せんば)の老舗米問屋「北村屋」へと駆け落ちしました。
ところが、藤吉の母で「ごりょんさん(御寮人さん)」こと「北村啄子(きたむら・つえこ、演:鈴木京香)」は「てん」を嫁とは認めず、「てん」を女中として北村屋で働かせます。
藤吉は啄子に「てん」を自分の嫁に認めてもらうべく、イギリス製の「電気式髪結い機」、いわゆるパーマ機を大量に仕入れて、店の借金を返そうとしました。購入資金は実家の家と土地を担保に借金をして。案の定パーマ機は欠陥品で、藤吉は大量のパーマ機と一緒に多額の借金を抱えることとなりました。
啄子にも借金の返済は無理と判断されたようで、啄子は店を畳む決意をし、店と土地を不動産屋に売った金で借金を返済しました。家と職ををなくした藤吉たち、藤吉のかつての芸人仲間たちから彼らが住まう貧乏長屋を紹介してもらい、そこに住むことになりました。
風太は語らず
「てん」の実家の「藤岡屋」では、父親の儀兵衛が身体の具合を悪くしています。儀兵衛は妻「藤岡しず(ふじおか・しず、演:鈴木保奈美)」にこのことは誰にも言うなと口を封じていましたが、手代をしている「てん」の従兄「武井風太(たけい・ふうた、演:濱田岳)」はその様子を見ており、大阪へと向かいました。
風太はまず行商をしている藤吉の元へ行き、「てん」を一度実家に戻してやってくれないかと頼みますが、藤吉からは一人前になるまでは藤岡屋の敷居をまたぐことはできないと断られました。
風太は「てん」の元へも行き、藤吉の芸人仲間「万丈目吉蔵(まんじょうめ・きちぞう、演:藤井隆)」の妻「万丈目歌子(まんじょうめ・うたこ、演:枝元萌)」が経営をしている一膳飯屋「万々亭」で旧交を温めていました。「てん」は昼間この「万々亭」で働いていますね。その場でも風太は実家に返ってこないかと誘いましたが、藤吉と同じ理由で断られました。
風太は結局は儀兵衛のことを2人に告げられず仕舞いで京都に帰っていきました。
寄席小屋「鶴亀亭」
大阪の天神で、正月なのに開いていない寄席小屋を見つけた藤吉は、その小屋の雰囲気が気に入り家主「亀井庄助(かめい・しょうすけ、演:内場勝則)」に譲ってもらえないかと頼んでいます。しかし毎日のように通って頼み込んでも亀井はなかなか首を縦に振ってくれません。
34話では建物を取り壊すと言っていました。前々から土地が欲しいと言ってた人がいるからということでした。藤吉としては当然それを阻止したいのですが、受け入れてもらえません。
「てん」も暇があれば亀井のところに通っています。亀井は藤吉よりも「てん」の方に心を開いている感があり、建物の看板の鶴と亀について語っていました。亀は自分(亀井)、鶴は亡くなった妻のことだと言います。鶴子と言っていたでしょうか。
亀井も藤吉たちと同様、といっても藤吉たちは未だ結婚していないですが、夫婦で寄席を運営していたようです。鶴子さんには苦労をかけて贅沢もさせられなかったけど文句一つ言わない、「てん」のような女だったと亀井は言います。しかし亀井は鶴子さんに先立たれ、妻が亡くなってからというもの寄席の経営が上手く行かなくなったそうです。
そうそう寄席小屋の名前は「つるかめ亭(鶴亀亭(?)」だということです。
とざいとーざいを再び
夜、家に帰った「てん」は藤吉に明日の朝に2人で亀井さんのところに行きませんかと提案します。「てん」は亀井の話を聞いてから亀井は本当は寄席小屋を続けたいのではないかと考えています。
翌朝、2人で亀井のところへ行き、最後のお願いをしていました。自分が寄席小屋経営の素人であっても芸を愛する気持ちは他の席主に負けないと藤吉は言い、藤吉は寄席小屋経営は素人であっても芸を見る目は確かだから面白い寄席ができると「てん」は言います。
藤吉のことはわかった、では「てん」はどうしてそこまでして寄席小屋をやりたいのかと亀井は問うと「てん」は「たくさんの人に笑って欲しいからです」「何よりこの人(藤吉)に笑っていて欲しいんです」と答えました。藤吉も「俺もてんを一生笑わせると約束をしました」と添えます。
「てん」は亀井の亡くなった奥さんが羨ましいと言います。夫婦2人なら苦労もへっちゃら寄席が続く限り亀井のことを信じていて幸せだっただと思う、「とざい、とーざい」の言葉を再びこの町に響かせて見せると力強く宣言します。
亀井もとうとう折れまして、2人に「鶴亀亭」を譲ることに決めたようでした。
とざいとーざいとは?
東西声(とうざいごえ)は歌舞伎や人形浄瑠璃の序びらき、口上の前などに「東西、東西」と裏から声を掛けること。またその声。開始の合図である。
(略)
劇場は通常南に向かって建てられているため、「東西」は客席の端から端までの客に対する呼びかけである。口上につきものの「隅から隅まで」とほぼ同義であると考えてよい。
東西声のWikipediaにはこのように書かれています。歌舞伎や浄瑠璃の掛け声なのですね。客席の隅から隅までと劇場に入ったお客さん全員に呼びかける言葉ということ。
アサリが御寮人さんに惚れた?
34話で少々気になるシーンがありました。それは、藤吉の芸人仲間の一人で俄(にわか)芸人の「アサリ(演:前野朋哉)」が、姐さん居てるか?と家にやって来て、御寮人さんの腰痛の具合を心配して貰い物の饅頭をお見舞いに置いていったシーンです。
このシーンは、アサリがお金にがめついだけの人間かと思っていたけど、実は情に厚い人間だったということを示しているのかもしれません。ただ、アサリが御寮人さんに惚れた可能性も同時に示しているかなと思わせました。
人っちゅうもんはちょっと知り合っただけではわからんもんや。ちょっとしたことで心が振り子のように振れることもある、とは御寮人さんの言葉。
この台詞が出たときはまだ藤吉が亀井から小屋を譲ってもらえていない段階だったので、亀井のことを指しているとは思いますけど、アサリと御寮人さんのことも指していると受け取ることもできなくはないですね。
今後、御寮人もアサリのことを異性として好きになるかも? いやいや……流石にそれはどうなのでしょうね。
御寮人さんが藤吉に対して腰痛がもう良くなっているのに悪いふりをしていた理由は、藤吉に寄席小屋を諦めてもらって、地道に野菜の行商を続けてもらいたいからだと思います。
おわりに
よくわからないことは、ようやく亀井を説得して寄席小屋を譲ってもらうことになったのに、御寮人さんが最後の砦として立ちふさがる流れになっていることです。いや、息子の藤吉にまっとうな仕事に就いてもらいたいから、という御寮人の気持ちはわからなくはないです。
しかし、藤吉は1ヶ月以内に寄席小屋を手に入れなければ諦めるという約束を果たして寄席小屋を手に入れたのですし、北村家がどん底に落ちている現状を考えれば、今以上に反対する理由は最早ないのではないかと思いますが……子を想うからこそ信じてやって欲しいですけど。ただ、これまで藤吉がしでかしたことを思い返すと仕方ないかなとも思います。