NHK連続テレビ小説『ひよっこ』、2017年9月30日放送の156話は最終回、大団円でした。
以下、最新話のネタバレ要素がありますので、バレても構わない方のみ下方スクロールをお願いします。
目次
『ひよっこ』第26週「グッバイ、ナミダクン」
2017年9月25日月曜日の放送から朝ドラ『ひよっこ』は第26週「グッバイ、ナミダクン」が始まっています。最終週。
物語の時代は昭和42年(1967年)の秋頃でしょうか。
本作のヒロイン「谷田部みね子(やたべ・みねこ、演:有村架純)」は、両親と自分がお世話になってきた、赤坂にある「あかね坂商店街」の裏路地に店を構える洋食屋「すずふり亭」でホール係の職に就いています。
「すずふり亭」はみね子の他、店主の「牧野鈴子(まきの・すずこ、演:宮本信子)」と、鈴子の息子で料理長の「牧野省吾(まきの・しょうご、演:佐々木蔵之介)」、コックの「井川元治(いがわ・げんじ、演:やついいちろう)」、見習いコックの「前田秀俊(まえだ・ひでとし、演:磯村勇斗)」の計5名が働いています。
みね子と同じホール係だった「朝倉高子(あさくら・たかこ、演:佐藤仁美)」は、みね子の幼馴染み「角谷三男(すみたに・みつお、演:泉澤祐希)」の兄「太郎(たろう、演:尾上寛之)」と結婚して奥茨城村の角谷家に嫁ぎました。
みね子は「すずふり亭」のすぐ裏にある「あかね荘」という木造2階建てのアパートの2階に住んでいます。
「あかね荘」には現在8人が暮らしています。大家は、鈴子と昔馴染みの「立花富(たちばな・とみ、演:白石加代子)」です。
住人は有楽町にある会社に勤務する事務員(オフィスレディー)「久坂早苗(くさか・さなえ、演:シシド・カフカ)」と、富山県出身の売れる気配がしない漫画家志望「新田啓輔(にった・けいすけ、演:岡山天音)」と同じく「坪内祐二(つぼうち・ゆうじ、演:浅香航大)」、みね子、省吾目当てで引っ越してきたみね子の元上司「永井愛子(ながい・あいこ、演:和久井映見)」の6人に加え、元女優の「川本世津子(かわもと・せつこ、演:菅野美穂)」がみね子と一緒に暮らしています。
みね子の幼馴染「助川時子(すけがわ・ときこ、演:佐久間由衣)」は、「ツイッギーそっくりコンテスト」で優勝をしたことをきっかけにみね子の部屋から出ています。
「すずふり亭」のある「あかね坂商店街」には、「すずふり亭」の他に中華料理店の「福翠楼(ふくすいろう)」と、和菓子屋の「柏木堂(かしわぎどう)」、バーの「月時計」が登場しています。
「福翠楼」は店主が「福田五郎(ふくだ・ごろう、演:光石研)」で、その妻が「福田安江(ふくだ・やすえ、演:生田智子)」です。「柏木堂」は店主が「柏木一郎(かしわぎ・いちろう、演:三宅裕司)」で、一郎の息子(養子)が「柏木ヤスハル(かしわぎ・やすはる、演:古舘佑太郎)」です。「月時計」の店主が「竹内邦子(たけうち・くにこ、演:白石美帆)」です。
一郎は鈴子の幼馴染みで、邦子は省吾の幼馴染み、ヤスハルは省吾の一人娘「牧野由香(まきの・ゆか、演:島崎遥香)」の幼馴染みになります。
父ちゃんの記憶が戻った?
156話、最終話のハイライトは、記憶喪失に陥っているみね子の父「谷田部実(やたべ・みのる、演:沢村一樹)」の記憶が戻ったことです。
正確に言うと、全ての正確が戻ったのではなく戻りつつある、その一歩が見られました。
みね子が働く「すずふり亭」に、テレビ番組「家族みんなで歌自慢」に出場するために上京した実家の谷田部家と叔父夫婦の小祝家が訪れ、省吾たちの作ったハヤシライスを食べていました。
家族は、みね子の祖父「谷田部茂(やたべ・しげる、演:古谷一行)」と父「谷田部 実(やたべ・みのる、演:沢村一樹)」、母「谷田部 美代子(やたべ みよこ、演:木村佳乃)」、みね子の妹「谷田部ちよ子(やたべ・ちよこ、演:宮原和)」、弟「谷田部進(やたべ・すすむ、演:高橋來)」、叔父「小祝宗男(こいわい・むねお、演:峯田和伸)」、叔母「小祝滋子(こいわい・しげこ、演:山崎静代)」です。
それから、秀俊がみね子との結婚の許可をもらうために挨拶をし無事了承してもらい、その後、実が鈴子に重箱を預かってもらっていますよねと言いました。
その重箱は、記憶を失う前の実が持ってきて鈴子が預かっていたもので、記憶喪失の状態にある実が知り得ない情報のはずです。
重箱を手に取ったときにも「これ家の(重箱)」と言っていたことから、周囲は驚きます。
実の記憶が戻ったのか? と。
実は周囲の反応に自分も発言の意味を感じ取り、周りに「ごめん、全部思い出した訳ではなくて……そんな気がして」と弁解していました。
しかし、重箱のことだけでも思い出したということは、ここから記憶が取り戻せる足がかりにはなるはずで、これは大きな大きな一歩でした。
一家全員でお世話になっている「すずふり亭」を訪れることができ、ハヤシライスを食べることもでき、そしてみね子の結婚報告、それらだけでもうお腹いっぱいの幸せを得られていたと思いますが、最後の最後の最大級の幸せも訪れていました。
幸せすぎます。
宗男が叫んでいた「どうだ!人間はすげえぞ!!」の言葉は感動でした。
「家族みんなで歌自慢」でタヌキさんチームが「涙くんさよなら」を歌った意味もより深まりました。
過去の辛いことから抜け出せそうですから。
『ひよっこ』全体の感想
本作『ひよっこ』の全体の感想としては、前作があれだったことと久しぶりの現代劇だったこともあって、面白かったです。
現代劇といっても50年前、半世紀が舞台ですが。
朝ドラのヒロインというと、何が大きな目標を見つけてそれに向かって突き進む女の子、というのがテンプレートとしてあろうかと思います。
しかし、今作のヒロイン「みね子」はそういう大きな目標は持っていませんでした。
いや、父親を捜す、家族を養うという目標はありましたね。
なので目標が全くない訳ではないですけれども、例えばアイドルになるとか、子どもを幸せにするための洋品店を作るとか、戦後の女性の暮らしを復興させる雑誌を作るとか、鉱山や銀行、大学を運営するとか、そういう目標はなく上京して働いてきた女性です。
その点で非常に珍しいタイプの朝ドラヒロインでした。
そのため、物語上大きな目標であった父親・実の捜索が終わったところで一つ大きな区切りがついてしまい、その後物語がグダった感は否めません。
しかし、広げた風呂敷を畳む期間と捉えればそれはそれで楽しいもので、以前書いたと思いますけど、私はRPGでクリア後の世界を回ることが好きなので、ドラマ内で実が見つかった後はそれに近い感覚を味わうことができて楽しめていました。
不満な点というと脚本家さんです。
脚本家の「岡田惠和」さんはおそらく『あまちゃん』を強く意識して今作を作っただろうと思われます。
ご本人がそう発言したかはわかりません。
ドラマを見ていると、『あまちゃん』的なコミカルな要素をそこかしこに感じられました。
しかし、岡田さんは「宮藤官九郎」さんのような笑いのセンスは持っていないように見え、滑っていたシーンが結構多かった印象を持ちました。
演者さんの力が……というところもあるでしょうか。
唐突なミュージカルシーンも、個人的には滑っている感じを受けていました。
見ていて寒くて苦手でした。
視聴者を置いてけぼりにしているというか。
それと、当時の感想に書いていますけど、早苗の過去などは台詞だけで済ませてしまったこと、これはもはやドラマ形式である必要すらなかったのでそれも残念でした。
そこはドラマの中で少しずつ回想をいれるなどもう少し丁寧に描いてもらいたかったです。
無理やり押し込んだ感がありましたし、人物描写に上滑り感がありました。
終盤グダっていたのですからもう少し自然に入れられたのではないかと。
もう一点、残念ながらヒロインの相手役の候補の方々にあまり魅力を感じられなかったこと、その点にも不満がありました。
それぞれのファンの方には申し訳ないです。
『梅ちゃん先生』の「松坂桃李」さんや『あまちゃん』の「福士蒼汰」さん、『まれ』の「山崎賢人」さん、『とと姉ちゃん』の「坂口健太郎」さんのようなインパクトはなかったです。
そこ次第で今作はもっと話題になっていたかなと思います。
ただ、みね子役の有村架純さんは、私は『あまちゃん』以来にドラマで拝見したのですが、『あまちゃん』でも感じたとおり実力のある女優さんだなと再認識しました。
ヒロインであり座長でもあるということで体を張った演技の数々、素晴らしかったです。
台詞回しだけでなく表情も繊細さを感じさせ、細かいところまで気をつけて演技をされているのだなと感心しました。
可愛いだけではない感じ。
時子に島谷を好きなことがバレたときの表情なんてたまらなかったですね。
単に私が有村さんを好きなだけかもしれませんが。
俳優さんでいうと、個人的な今作最大の発見は米子(さおり)役の伊藤沙莉さんです。
良いキャラでしたね。
伊藤沙莉をヒロインにした、女版寅さんのような朝ドラを作ってもらえないでしょうか。下町っ子の物語を。
私には楽しめそうです。
不平不満が多めになってしまいましたが、でも最終回、最終週のまとめ方は良かったです。
実が完全に記憶を取り戻して終わるみたいな、ご都合主義すぎない、今後に希望をもたせる終わり方をしたこと、MVP級の活躍を見せた宗男に最後再びスポットライトを浴びせられたこと、視聴者の多くの方が望んでいるであろう要望を叶え、それでいて無理のない終わらせ方ができていたように思います。
おわりに
ということで『ひよっこ』が終わってしまいました。
久しぶりに朝ドラを楽しめました。
傑作とまではいかないにしても、良作ではあったように思います。
さて、来週2017年10月2日月曜日からは新ドラマ『わろてんか』が始まります。
大阪が舞台ということですか。
時代設定は平成や昭和ではなく明治時代の後期です。
この時代の朝ドラは安定感がある印象ですから、こちらも楽しめそうです。
ただ私はしばらく「ひよっこロス」というか「みね子ロス」と「米子ロス」に悩まされるかもしれません。