ディスディスブログ

気分変調症の男がテレビ番組の感想やカメラ、ファッションのことなどを書きます

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Eテレ『浦沢直樹の漫勉』で、五十嵐大介さんは神社が作品制作の原点で、少女漫画から影響を受けたそうです

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木曜日23:00からEテレで放送されているドキュメンタリー番組『浦沢直樹の漫勉』、2016年はシーズン2(実質シーズン3)です。2016年3月17日放送されたシーズン2第3回に出演した漫画家は「五十嵐大介」さんです。

 

 

 

 

漫勉とは?

www.nhk.or.jp

 

日本を代表する漫画家さんたちの制作現場にカメラが入り、撮影された映像を、本人と漫画家の「浦沢直樹(うらさわ・なおき)」さんとで見ながら、どのような手法で描いているのか、どのような道具を用いて描いているのか、どのようなことを考えながら描いているのか……などを話す番組です。浦沢直樹さんは「YAWARA」「20世紀少年」「MONSTER」などを描いた方ですね。

 

漫勉シーズン2第3回は「五十嵐大介」さん

 

今回の放送は「五十嵐大介(いがらし・だいすけ)」さんでした。毎回書いていますけど、私は五十嵐大介さんを全く知りませんでした。

 

五十嵐 大介(いがらし だいすけ、1969年4月2日 - )は、日本の漫画家。埼玉県熊谷市出身。岩手県盛岡市在住。多摩美術大学美術学部絵画学科卒業。
1993年に『月刊アフタヌーン』にてデビュー。高い画力と繊細な描写で自然世界を描く。2004年、『魔女』により文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を、2009年、『海獣の子供』により第38回日本漫画家協会賞優秀賞、第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。

五十嵐大介 - Wikipedia

 

五十嵐大介さんのWikipediaにはこのようにあります。岩手県盛岡市在住とありましたが、番組では鎌倉で作業をしていらっしゃるようでした。最近引っ越されたのでしょうか。

多摩美を卒業してから漫画の世界に入ったとのこと。初めて投稿した作品が採用されたとか何とかとナレーションにあったと思います。大学では油絵をやっていたんでしたっけ。私のかつての彼女に某美大の油絵を専攻していた女の子がいて、その子のことを思い出してしまいましたが……そんなことはどうでもいいですね。

 

 

五十嵐大介さんの作品の原点は「神社」

個人的に最も興味を持って見た箇所は、五十嵐さんが大学時代に風や雨をモチーフにした作品を制作していて、自然の魅力に惹きつけられたその原点が故郷にある神社だったということです。

故郷にある神社は「調神社(つきじんじゃ)」だそうですが、その神社が季節や時間でどんどん移ろっていく、光も変わっていく、季節が変わっていく中で、美しさを感じたことがあって、その感覚が根底にあるそうです。

私は写真を趣味にしていて、その感覚はよくわかります。雑誌を読んでいたりネットをしていると、風景写真はつまらないという意見を散見するのですが、私は同じ場所であっても毎回楽しく撮影できるんですよね。たいてい違って見えます。一日の中でも時間によって光の向きや強さや色が異なりますし、天候も変わっていきますし、年間を通して考えれば季節が変わって暑さ寒さも変わっていますから、なかなか同じ写真を撮影することはできません。

五十嵐さんは美大を卒業後、日本中を旅して景色をスケッチしてきたそうです。ご本人は、その土地の景色をスケッチすることを「挨拶」だと仰っていました。自分が気に入った場所に行ったときの挨拶代わり、自分がその場所に馴染むための「儀式」のようなものだと。なるほど……私は旅行などで初めて行った場所にはそこに建つ神社にお参りしていますが、似たことかもしれません。お邪魔します、という。

絵を描く時間、その集中とか、それを経た後の方が、色々なものが身に迫ってくるというか「体験」になっていく感じがする、ということだそうです。

 

 

五十嵐大介作品は少女漫画の影響が強い?

五十嵐漫画の絵の源泉はどこにあるかと浦沢さんからの質問を受けて、五十嵐さんはまず「安彦良和」さんの名前を挙げていました。言わずもがな安彦良和さんは『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』や『アリオン』などを描いている方です。

その次に高校時代には少女漫画ばかりを読んでいたと仰っていました。「紡木たく」さんや「わかつきめぐみ」さん、「成田美名子」さん、「川原泉」さん、の名前を挙げています。

テレビ画面には、紡木たくさんの作品は「瞬きもせず」、わかつきめぐみさんの作品は「So What?」、成田美名子さんの作品は「CIPHER(サイファ)」、川原泉さんの作品は「笑う大天使(ミカエル)」の画像が表示されていました。

 

私も姉の影響で少女漫画は少し読んでいて、五十嵐さんが挙げた中だと「瞬きもせず」と「CIPHER」は読みました。姉は成田美名子さんの作品を好きだったみたいで、「エイリアン通り(ストリート)」と、「CIPHER」の続編の「ALEXANDRITE(アレキサンドライト)」も家にあったので読みました。他は、安孫子三和(あびこ・みわ)さんの「みかん絵日記」、池野恋(いけの・こい)さんの「ときめきトゥナイト」、きらさんの「まっすぐにいこう。」、佐々木倫子(ささき・のりこ)さんの「動物のお医者さん」等などです。もっとたくさん読んだはずですけど、今パッと思い浮かぶのはこのくらいです。動物のお医者さんは腹を抱えて笑いました……読みたくなってきたなぁ。チョビ。

 

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実は今日、五十嵐さんの「怪獣の子供」の1巻を買ってしまいました。いや、「買ってしまった」って、買うこと自体は悪いことではないですけれども。読んだことで、五十嵐さんが自分の漫画には少女漫画の影響が強いという言葉がより一層スッキリ飲み込めます。

前述したように、少女漫画を少しですが読んだ経験を持つ私には、五十嵐さんの絵には少女漫画のテイストが感じられます。スクリーントーンの使い方や輪郭線などの線の使い方などがどことなく少年漫画や青年漫画にはないものを感じます。

五十嵐さんの絵からは松本大洋さん的なノリも感じていますけれども、それは背景をフリーハンドで描いているからかもしれません。

 

 

おわりに

背景に関して、浦沢さんは「自然物ってさ、(遠くから見て?木の)枝がどうなっているかなんて、わからないことだらけだし。“あそこに何か光っている物があるけど何あれ?”っていうのがあるでしょ。そういうのを“わかる物”として描いたら駄目なんだ。“わからない物”として描くと自然物になる」と仰っていて、これは面白いことを聞けたなぁと思いました。

五十嵐さんは背景を定規を使わずにフリーハンドで描いていらっしゃる、それどころかほとんどアシスタントを使わずに描いているみたいで、その辺に浦沢さんは五十嵐さんの良さを感じ取っていらっしゃるようでした。先述の松本大洋さんも、最近の作品はわからないですけど、『鉄コン筋クリート』などの頃はフリーハンドで描いていて、味のある背景画でしたね。

浦沢さんは五十嵐さんを「個人的に今、世界で一番絵が上手い漫画家さんの1人だと思っていますから」「派手ではないけど、絵を見る人が見たら“凄み”があるんじゃないかな」と評価していらっしゃいました。それを聞いたらこれは読まなきゃいかんだろうと思いまして、「海獣の子供」の1巻を購入しました。

「海獣の子供」は『月刊IKKI』で連載されていた作品だそうです。1巻を読んでとてもIKKIっぽい漫画だなぁと思いました。松本大洋さんの「ナンバーファイブ 吾」が連載されていた頃はIKKIを購読していたんです。「ナンバーファイブ 吾」の連載が終わったと同時にIKKIを買うことも止めていました。連載が終わったのは2005年でしたか、「海獣の子供」の連載が始まったのは2006年からだそうですから、被っていないんですね……被っていたら10年早く五十嵐さんを知ることができたのに。縁がなかったということでしょう。

番組の始めには五十嵐さんの自宅が映っていました。雰囲気の良い家で、個人的にはかなりツボでした。『浦沢直樹の漫勉』の再放送は、日曜日の深夜にあります。番組を見逃した方は是非。

 

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