ディスディスブログ

気分変調症の男がテレビ番組の感想やカメラ、ファッションのことなどを書きます

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Eテレ『漫勉』で東村アキコさんのペンの速さに浦沢直樹さんも驚いていました

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Eテレで『漫勉』昨日2015年9月4日金曜日23:00から放送されていました。「かくかくしかじか」でマンガ大賞2015を受賞した東村アキコさんが登場していて、とても面白かったです。

 

www.nhk.or.jp

 

この番組は、普段は立ち入ることができない漫画家たちの仕事場に密着し、「マンガ誕生」の瞬間をドキュメントする。そして、漫画家・浦沢直樹がそれぞれの創作の秘密に同じ漫画家の視点から切り込む。日本の漫画家のペン先を、世界に届ける。それが「漫勉」。

 

番組説明にはこのようにあります。 日本を代表する漫画家さんたちの漫画制作の現場にカメラが入り、その撮影されたものを漫画家の浦沢直樹さんとその漫画家さんとで見ながら、どのような手法で描いているのか、どのような道具を用いて描いているのか、どのようなことを考えて描いているのか……などを話す番組です。

昨年でしたか、「沈黙の艦隊」「太陽の黙示録』のかわぐちかいじさん、「天才柳沢教授の生活」「不思議な少年」の山下和美さんを放送していました。それがとても面白かったので、待望の続編です。嬉しい。

浦沢直樹さんは「YAWARA」「20世紀少年」「MONSTER」などを描いた方ですね。終盤の展開がちょっとあれでしたけど、MONSTERが好きでした。

 

www.nhk.or.jp

 

今回の放送では東村アキコさんが登場しています。東村さんは『かくかくしかじか』でマンガ大賞2015を受賞されたそうです。

 

kuragehime.noitamina.tv

 

私の東村アキコさんとの出会いは、フジテレビのノイタミナで放送されていたアニメ『海月姫』です。海月姫は能年玲奈さんの主演で実写映画化もされていました。

私はそれまで東村さんの名前すら知りませんで、予備知識なしに海月姫を見始めましたが、とても面白かったです。オタクの女性が集う男子禁制のアパート天水館でのドタバタコメディですね。最初、東村さんの絵を見て、つのだじろうさんを思い出しました。つのださんは「空手バカ一代」や「うしろの百太郎」を描いた方です。目や眉の形が似ている気がして……。

その後、東村さんの漫画は読んでいません。読みたいけどお金がないので買えません、と言った方が正しいです。でも本の雑誌『ダ・ヴィンチ』で、東村アキコさんを特集した号は読みました。図書館で。顔が木村カエラちゃんみたいに見えましたね。そのインタビューで美大受験のエピソードを語っていましたが、これは「かくかくしかじか」に描かれているのでしょう。センター8割取った話。

さて、漫勉での東村さんですけど、ペンを進めるスピードがとんでもなく速かったです。迷いがない。浦沢さんも速筆の方だそうですが、それでも驚いていて、達人の域だと言っていました。ペンのスピードが線に出ていると。何せ東村さんは月に100ページ描いているそうですからね……相当な速さで描いていかないと間に合いませんよ。

漫画の製作過程をあまり知らないですが、ストーリーを考えてネームをあげて、担当からOKが出たら本番を描くんですよね? それを月に100ページやるわけですから……とんでもないです。当たり前といえばそうですけど、もちろんアシスタントさんにも描いてもらっていました。東村さんのアシスタントは10人ほどだそう。

全編が見どころなのですが、中でも私にとって印象的なやり取りがありました。それは「背景はもう要らないと思うんですよね、漫画って」というセリフです。今(の漫画)は描き込みすぎじゃないですか皆さん、と。「(浦沢)一コマ目にパーンとあれば後は(東村)脳内補完でいけるはずですよ(浦沢)“読者の方で想像してくれ”っていう風にしないと情報が多すぎちゃって」という一つの文章の中を、浦沢さんと東村さんの2人で紡いだ瞬間がとても面白かったです。

私は最近の漫画をあまり読んでいないですけど、確かに、例えばあの国民的な人気少年漫画の最近の描き込みは「やり過ぎで見づらい」的な意見が少なからず聞かれますね、ネットを見ていると。初期の絵の方が、という。

私は鳥山明さんの「Dr.スランプ」や「ドラゴンボール」で育った世代なこともあるのか、描き込み系はあまり得意ではないかもしれないです。漫画に描き込みが増えていったのはいつぐらいからなのでしょう。水木しげるさんも相当だと思うので、いつからといったら昔からなのでしょうか。でも大友克洋さんの「AKIRA」の影響が大きいのかなぁと思ってみたり。

漫勉の背景の話をしているとき、「引き算で描く」という言葉が画面にありました。描かない技術というのは確かに重要な気がします。漫画ではないですけど、最近のスポーツ実況(特に民放)でも実況の方がしゃべりすぎていて、見ている・聞いているこちらが疲れてしまい、終いには消音で観戦する、ということが私にはしばしばあります。余白を残し、視聴者に感じる・考える時間を与えるのも大切な技術なのではないかと思います。しゃべらない技術。それは漫画や実況以外にも言えることかも知れません。例えば今話題のデザインにも、私が好きな写真撮影にも。

書きたいことはまだまだありますけどこれくらいにします。とにかく東村さんは頭が良い、そういう印象でした。次回は藤田和日郎さんです。今、TOKYO MXでアニメが放送されている「うしおととら」の作者さんです。東村アキコ回の再放送もおそらく一週間以内にあるのではないでしょうか。見逃した方は再放送を待ちましょう。たぶんNHKならやってくれるはずです。

 

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かくかくしかじか 1

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