ディスディスブログ

気分変調症の男がテレビ番組の感想やカメラ、ファッションのことなどを書きます

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花子は美しい。アニメ『銀河鉄道999』の10話「トレーダー分岐点(後編)」の鉄郎のセリフに強い違和感がありました

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2020年7月5日より『tvk(テレビ神奈川)』にてアニメ『銀河鉄道999』が放送されています。

2020年9月6日放送の10話「トレーダー分岐点(後編)」を観て、何だか嫌な気分になりました。

内容よりも鉄郎のセリフに対してです。

 

目次

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『銀河鉄道999』

『銀河鉄道999』についてです。

 

『銀河鉄道999』(ぎんがてつどうスリーナイン、Galaxy Express 999)は、松本零士作のSF漫画、およびそれを原作としたテレビアニメ番組、アニメ映画である。

 

- 銀河鉄道999 - Wikipedia

 

銀河鉄道999のWikipediaには上記引用部のように書かれています。

  

アニメ『銀河鉄道999』

アニメ版『銀河鉄道999』についてです。

 

銀河鉄道999

フジテレビ系列で、1978年9月14日 - 1981年3月26日に全113話 + テレビスペシャル3話が放送され、翌1982年に総集編が放送された[注 1]。東映動画製作。文化庁推薦作品。

 

- 銀河鉄道999 (アニメ) - Wikipedia

 

銀河鉄道999 (アニメ) のWikipediaには上記引用部のように書かれています。

 

tvk『銀河鉄道999』再放送

2020年7月5日より『tvk(テレビ神奈川)』にて、アニメ版『銀河鉄道999』の再放送が始まりました。

 

www.tvk-yokohama.com

 

放送日は毎週日曜日、放送時間は23:00から23:30です。

 

dysdis.hatenablog.com

 

放送が開始されるときにも当ブログで記事にしています。

 

10話「トレーダー分岐点(後編)」

2020年9月6日、tvkでは10話「トレーダー分岐点(後編)」が放送されました。

 

不覚にも眠ってしまった鉄郎は、花子に「野の花」駅行きの列車に乗せられてしまっていた。そこで、鉄郎は、花子の結婚相手として、老いた両親に紹介される。喜ぶ花子の両親に、鉄郎は何も言えなくなり、祝言まであげることに…。

 

録画データにある10話の内容説明です。

 

9話「トレーダー分岐点(前編)」

10話の話を本格的にする前に9話の話をしないといけませんね。

9話の前編は録画を消してしまったので、データの説明文はありません。

 

これから記憶にある9話の内容を書いていきます。

間違えていたら申し訳ありません。

 

「トレーダー分岐点」には999の他にもたくさんのローカル線の列車が入ってきます。

多くの旅行者が行き交う活気のある場所ですけど、旅行者の中には貧しい人もいて、鉄郎たちが食事をしていると、窓の外から羨ましそうに凝視している様子も見られます。

また、星で働いている人たちの暮らしぶりは決して良くないようです。

そんな場所でした。

 

鉄郎は、大好きなラーメン食べたさに一人で街のラーメン屋に入って食べていると、そこで貧しく暮らす女性「花子」と出会います。

鉄郎は花子にラーメンをおごります。

メーテルから1人におごるようなことをしてはいけないとか何とか釘を差されていたにも関わらず。

 

案の定、鉄郎は貧しい旅行者たちから集(たか)られてしまいました。

花子におごるのなら俺らにもおごってくれるよな、という理屈です。

 

所持金が尽きるまでおごらされて困っている鉄郎を、花子が連れて逃げます。

旅行者たちに追いかけられましたが、鉄郎は花子に導かれて下水道の脇に空けられた穴の奥に隠れると、やり過ごすことができました。

 

その穴は花子の暮らす「家」でした。

言ってしまうと、花子はホームレス生活をしているのでしょう。

そこで鉄郎は色々と疲れて眠ってしまい、そんな鉄郎を花子は電車に乗せてしまうのです。

 

これが9話。

10話は上記引用部のとおりです。

 

10話の鉄郎のセリフに違和感

10話の終盤、鉄郎はメーテルに助けてもらいます。

2人で始発のローカル線に乗って999のあるホームへと戻る車中で、鉄郎がメーテルに発したセリフに私は驚愕しました。

どうしてもっと早く助けてくれなかったんだと言った流れで

 

「とっても気味の悪い想いをしたんだから」

 

と言いやがったのです。

 

このセリフに私は違和感を覚えました。

鉄郎ならこのようなセリフは言わない気がしたのです。

 

原作でこんなセリフを言っていましたっけ?

原作漫画を読んだのはずいぶん昔の話なので覚えていないだけかもしれませんけど。

 

いえ、気味が悪い話と言えば確かにそうなのですよね。

先ほど紹介した10話のあらすじにあるように、花子は出会っても間もない鉄郎を連れて両親の家に行き、鉄郎を自分の婿だと紹介し、そして祝言まであげてしまうのですから。

 

優しいが故に歪んだ親孝行

母親が花子の若い頃の写真を見せてくれ、それはそれは綺麗な女性でした。

メーテルに似ていますが、少し地味にしたようなビジュアルです。

松本零士さんの描く美人さんのデザインを想像していただければだいたい正解。

現在は若い当時の姿は見る影もなく、目は小さく逆に鼻は大きくボロを身にまとっているという、みすぼらしい姿で描かれています。

 

若い頃から友人も恋人も作らずに頑張って働いてきて、必死に生きているうち歳を重ね、気がついたら今の姿になっていたということだと思います。

結果としてホームレス同然の生活をしてしまっているのですから、思い描いていたように人生が運ばなかったことは誰の目からも明らかです。

 

そんな今の自分に対しても優しさを見せてくれた鉄郎に対して、ひとときで良いから両親の前で自分の婿として振る舞って欲しいと、花子が行動に出たのが10話でした。

親元を離れてから常に気苦労をかけてきた両親に、嘘でもいいから親孝行をしてあげたかったのですね。

優しい鉄郎なら手伝ってくれるはずだと。

 

無論、嘘じゃない方が良いに決まっています。

けれども、それは今の自分には実現できないことですし、悲しいかな、これからも実現できそうにないことです。

 

やり方こそ恣意的かつ強引ではありましたが、花子は心の優しい人でした。

鉄郎が自分の元を離れていったことを知った花子は、走り去るローカル線に向かって、乗っているであろう鉄郎に向かって、泣きながら「幸せになるのよ」と言うのですから。

 

メーテルの言葉

メーテルは鉄郎を取り戻す前夜から「野の花」に来ていました。

しかし花子の想いや両親への優しさを察して動かなかったようです。

頃合いを図って鉄郎を連れ出したと。

 

そんなメーテルに対して、鉄郎は「気味の悪い想いをした」と言い放ちます。

それが私には違和感になりました。

 

鉄郎の言葉を聞いたメーテルは、鉄郎も親切だったから、優しかったからこそ花子はあなたをご両親に会わせる気になったのよ、ご両親を安心させるために鉄郎を選んだのよと、花子さんは決して悪い人じゃない、ただ生きるために精一杯だったのよ、鉄郎と同じように花子さんも優しい人だったのね、と諭します。

 

このメーテルのセリフこそが、松本零士さんがこのエピソードで言いたかったことではないでしょうか。

 

さらにメーテルは「鉄郎も花子の両親の前で『ボクは違う』って言わなかったわね」と、鉄郎の優しさにも触れています。

メーテルの言葉に、鉄郎は頭をかきながら「あまり驚くことが多くて、何も言えなかったのさ」などと言って照れていました。

 

余計なセリフだった

はっきりと、あの「気味の悪い想いをした」のセリフが余計だったと私には思えます。

 

花子の優しさに触れて、正しくはないのかもしれないけど、彼女の親孝行の手伝いをしてやろうと鉄郎が本当に思っていたのなら、「あまり驚くことが多くて、何も言えなかったのさ」のセリフはカッコいいです。

照れ隠しというか、自分の優しさや強さを周りにアピールしたがらない、多くを語らない、高倉健さんにも通ずる昭和の男のセリフになるからです。

 

ところが「気味の悪い想いをした」のセリフを言った後では、野の花での鉄郎は本当に驚いて何も言えなかっただけになってしまっています。

メーテルに諭されてようやく花子の優しさに気づいて、同時に自分も褒められたから調子に乗っているようにも見えてしまいます。

全てが台無しです。

 

どうして鉄郎にあんな発言をさせたのか、脚本や絵を描いている方たちは作っていて違和感がなかったのでしょうか。

声優さんも然り。

原作でも同じことを言っていたのか、私が漫画で読んだのは大昔のことで細かいところまで覚えていません。

今とても漫画を読みたい気分でいます。

 

評価は分かれるか

「トレーダー分岐点」の前後編は評価が分かれるだろうなと思います。

と言いますか、このエピソードが好きではない人の方が好きな人より多いだろうと思います。

花子さんの今後も決して明るくない、それどころか彼女は今後も年齢を重ねていくのですから、今後は今以上に暗くなる可能性の方が圧倒的に高いですから。

さすがに救いがなさすぎますものね。

 

私も正直、あまり好きなエピソードではありません。

花子さんのこれまでとこれからを思うと不憫すぎるから。

子どもの頃に漫画でこのエピソードを読んだときも、子どもながらに暗さや恐ろしさを感じて、進んで二度三度と読もうとは思わなかったです。

 

一方で、子どもの頃に読んだ内容を何十年と経ってアニメを観たことで思い出されるのですから、良くも悪くも心に引っかかるエピソードであったこともまた事実。

 

大人になった今改めてエピソードをしっかり観ると、松本零士さんは生きることの尊さ、働くことの尊さを訴えたかったのだろうと感じます。

結果として、花子さんは職と住まいを失っていますし、美貌も失われてしまいました。

それでも彼女が若い頃から一所懸命に生きてきた・働いてきた事実は変わりません。

美貌が失われたこと、手がゴツゴツとしていた(鉄郎談)ことこそがその証明になっています。

何より花子さんは自身が辛い人生の最中にあっても、他者の幸せを願うことができる心の美しい人です。

人の美しさは外見や身分、職の有無では決して測れないのだと、作者は言いたいのではないでしょうか。

そういうところまで子ども時分にはわかりませんでした。

 

好き嫌いはともかく、このエピソードは貧困や差別を知ったり考えたりする契機になる、とても良い話です。

小さな子どもさんがいるご家庭は家族で観ると特に良いかもしれませんね。

新型コロナウィルスの感染拡大に世界が震撼している2020年現在によく響くエピソードでもあるでしょう。

職業や人種の差別問題も起こっているみたいですから。

 

おわりに

ということでアニメ『銀河鉄道999』の10話「トレーダー分岐点(後編)」の鉄郎のセリフに違和感がありましたの記事でした。

 

銀河鉄道999 文庫全18巻 完結セット (少年画報社文庫)

銀河鉄道999 文庫全18巻 完結セット (少年画報社文庫)

  • 作者:松本 零士
  • 発売日: 2010/11/01
  • メディア: コミック
 

 

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