ディスディスブログ

気分変調症の男がテレビ番組の感想やカメラ、ファッションのことなどを書きます

ディスディスブログ

ハリルホジッチ監督の解任反対をする人が多数派に見えて驚きました。賛成派の私が考えていることを書きました

スポンサーリンク

昨日2018年4月9日に、サッカー日本代表の「ヴァヒド・ハリルホジッチ」監督が解任されました。

世間では解任反対派・解任否定派の方が思いの外多いことに驚いています。

賛成をしている私の考えをもう一度整理してみました。

整理できているかは不明。

 

目次

 

 

スポンサーリンク

田嶋会長のハリルホジッチ監督解任会見

 2018年4月9日、日本サッカー協会の「田嶋幸三(たしま・こうぞう)」会長は、ヴァヒド・ハリルホジッチ日本代表監督を解任しました。

ハリル氏の後任は同協会技術委員長「西野朗(にしの・あきら)」氏を起用すると発表しています。

上記リンクが会見の全文(前後編)だそうです。

リンク切れをしていたため削除 (2019/11/24)

 

dysdis.hatenablog.com

 

私個人としてはハリルホジッチ監督の解任を推していました。

ですから今回の解任そのものには大いに賛成しています。

 

しかし、その理由に選手とのコミュニケーションが挙げられていたり、後任が西野さんであることには不満を感じています。

解任の理由が特定の選手に動かされた可能性がある(田嶋さんたちは決してそれを認めないでしょうけど)ことが。

理由が単純にサッカーの内容と成績が共に良くなかったことであるなら良かったのに。

 

西野さんについても、彼は協会の技術委員長なのですから今回の解任劇においても中心を担っていたはずです。

あなたも責任を取って田嶋さんと共に辞任をする立場じゃないのか、という疑問を持っています。

責任を取りたいからこそ今回、代表監督を引き受けたということなのでしょうけれども……それは違くない?と思います。

 

ハリルホジッチ擁護と解任反対

今回の解任の報を受けて、色々なところで反応を見ていました。

どうやらハリルホジッチさんを擁護したり、解任を反対(続投希望)したり、そういう意見がかなり多いことを感じます。

 

ハリルホジッチと日本サッカーの未来―その指針と論点

私のように解任に賛成する人は結構な少数派のようです。

解任自体を認めていてもタイミングが悪い、という意見も少なからずありました。

今回の解任に賛成している人は極めて少ないようです。

私にはそれが意外に感じられました。

 

ハリル擁護・続投希望をしている方の意見を見ていると、ここまで継続してきたのに本番直前に解任するなんてことはあり得ないみたいな考え方が一つあるようです。

他にはハリルホジッチさんは、前回のワールドカップ2014ブラジル大会で、アルジェリア代表を率いてドイツ代表を苦しめた上にベスト16に進出しています。

このことから、ワールドカップのような短期の大会に強いはずだと、今回も本番用のプランを用意していたはずだという意見も見られました。

 

しかし、これらの意見は擁護をするための根拠には足りていないように私には感じられます。

昨年の最終予選オーストラリア戦の快勝の後の結果を見ると、サウジアラビアに0-1で負け、ニュージーランドに2-1で勝ち、ハイチに3-3ドロー、ブラジルに1-3とベルギーに0-1で負け、続く東アジアカップ (E-1) では北朝鮮に1-0と中国に2-1と辛くも勝ったものの1点差、続く韓国戦では1-4の惨敗、今年に入ってからもマリ戦で試合終了ギリギリで1-1ドロー、ウクライナ戦では1-2で負けですか。

勝利は戦力的に下と思われる国ばかりで、格上には歯が立たず、実力的に近い相手にも勝てていないです。

しかもスコア以上にサッカーの内容が乏しいものでした。

 

田嶋さんや西野さんのこれまでの発言から、そういったハリルホジッチ・プランに関するものは聞かれませんでした。

このことからハリルさんが本番用プランを持っているとは考えづらいでしょう。

 

仮にハリルさんが本番用のプランを持っていたとしても、解任までの間にプランがあることを協会に伝えていないこともおかしいです。

 

プランを持っていたけど協会幹部に話していなかったのなら、それもやはりハリルさんの落ち度です。

 

プランがあることを伝えていたとしても、ハリルさんが要求するフィジカルに到達していないと思われる日本の選手たちが、プランを実現できるかどうかは別問題として残っています。

また、プランを実現するフィジカルを持っていても、予選グループリーグに勝てるとは限りません。

 

それに、ここ最近ハリル・ジャパンのサッカー内容について肯定的な意見を述べている記事ってまず読んだことがないんですよね。

オーストラリア戦くらいです。

そのときに否定的な意見を述べていた方々は一体今どこにいらっしゃるのでしょうか。

感情論や精神論で擁護に回ったのであれば、それは違うのではないかと思います。

もちろんパッションなしにサッカーを語ることは無理でしょう。

しかしハリル・ジャパンのサッカー内容については、ロジックで説明できるものも多くあるのではないかと。

 

ハリルサッカーの限界

ハリルさんのサッカールールはごくシンプルなものに見えます。

基本となるフォーメーションは当然あるにしても、ボールを保持しているときは相手の守備陣形が整う整わないを問わず「縦ポン」、ボール保持していないときは「マンマーク」、そのくらいしかないのではないかと思える最近の戦いぶりでした。

あとはよく聞かれた「フリック」ですか。

 

私がハリルサッカーで特に問題視していることは「ボール保持していないときの動き」です。

 

昨年のE-1での韓国戦だったと思いますが、右サイドバック (SB) の「植田直通」選手(以降敬称略)が中に釣られて、空いた日本の右サイドを使われて失点したシーンがありました。

試合のテレビ解説をしていた方は「松木安太郎」さんと、誰かもう一人いらっしゃったと思います(「中山雅史」さん?)が、解説者陣は植田に対して「中に絞るな(右を空けるな)」と叫ぶように言っていた記憶です。

 

あのシーンにハリルサッカーの限界があったように私は感じられました。

ボールが相手にあるときの日本の約束事はおそらく「マンマーク」しかなかったのだと思えるからです。

 

あのときピッチで何が起こっていたというと、韓国の左SBだったと思いますが、その選手がインナーラップを仕掛けました。

SBの選手なのに、外側・サイドではなく中を駆け上がってきたのですね。

選手のマークを担当する植田は、約束事のマンマークを守るために選手に付いていく→中に絞る=右サイドを空ける、そういう動きをしました。

そのときの日本の右ウィング (WG) は「伊東純也」がいて、彼が空いた右サイドの低い位置を埋める動きをしなかったために、右サイドがぽっかりと空いてしまったのです。

右WGが伊東ではなく「本田圭佑」なら、ゾーンを埋める動きをしていた可能性は極めて高いです。

それはウクライナ戦での彼の動きが証明しています。

ウクライナ戦でも本田がベンチに下がった後に、本田のケアを失った右SBの「酒井高徳」が簡単にかわされて、そこから失点していましたね。

 

何が言いたいかと言うと、マーク担当の相手選手がポジションを越えてきて、マーカーがゾーンを越えてマークに動いた場合に、空いたゾーンを誰がどのようにして埋めるかがチーム内で「ルール化されていない」ということです。

だから代表経験がほとんどない伊東は戻ら(れ)なかったし、本田は空けると不味いことをわかっているから戻る、そういう「選手ごとに動きの違い」が生まれるのだと思います。

ルール化されていれば、あの韓国戦での失点シーンも伊東なりディフェンシブハーフ (DH) なりがケアをしていたはずです。

ケアをしても失点するときは失点するので結果はさておき、ルール化されていれば、少なくとも誰かが空いたポジションを埋める動きはしていたことでしょう。

 

韓国戦のような状況は、実は快勝したように見えるオーストラリア戦でも起こっていましたし、韓国戦前のブラジル戦でも起こっていました。

幸いにもオーストラリア戦では、オーストラリアの選手が生じた穴を使わなかったことで事なきを得ていましたが、ブラジル戦や韓国戦ではそうはいかなかったのですね。

韓国はおそらくオーストラリア戦以降、特にブラジル戦と思いますが、それらの試合を見返して研究してハリルサッカーの弱点を見つけ、弱点を突くために意図してSBにインナーラップを仕掛けさせたのだと私は考えています。

 

では、ハリルが自分の弱点について何か対処していたかというと、対処は施していなかったように私には見えました。

特にブラジルが序盤も序盤、確か開始2,3分だったと思いますが、「ネイマール」らブラジル代表の選手がわかりやすいくらいに日本のマンマークの弱点を見せてくれたにも関わらず、です。

試合開始間もない時間帯の出来事なので、試合を見られる方はぜひ見返してください。

 

それは「ハリルホジッチ自身がピッチ上で起こっている事態を理解していない」ことを意味していると同時に、世界レベルはおろかアジアレベルの国に対して「ハリルのサッカーが通用しない」ことをも意味していて、絶望的な出来事となりました。

 

他、前線からのプレスをする時にも、選手によって前から行く人と行かない人がいましたし、プレスのスタート地点や追い込む方向もまちまち、前から行った後にミッドフィールドとの間に生じたスペース、崩れたバランスを、誰がどう動いて埋めるのか意思統一されていない様子が見られました。

これらも根本は同じで、チーム内で動きがルール化されていない、そのときどきの個人の判断に委ねられていると考えられます。

 

スペインやブラジルのように、選手個人の戦術理解や状況把握が優れているチームであれば、ルール化されていなくても個々人が判断して動けるかもしれません。

しかし、残念ながら現在の日本代表選手にあってはスペインやブラジルまでのレベルには到達していないので、ルール化されていない限りはなかなか動けないのではないかと思います。

 

自分のポジションを勝手に空けてまでケアしようとは思えない、自分のポジションを空けてケアをしたとしても、今度は誰が自分のところの穴を埋めてくれるかわからないのだから、自分が空けた穴を使われて失点でもしたら、自分の責任になってしまいかねません。

代表入りがギリギリまで約束される気配がない現状で、指揮官の命令を破ってまで己を貫こうとする選手は少ないでしょう。

だってワールドカップが手に届くところにあるのですよ?

多くの選手にとってワールドカップ出場は子どもの頃からの夢のはずですから、出たいですよね、普通。

次大会に出られる保証もないですし。

 

ハリルは代表チーム不向き?

またハリルホジッチさんは代表の監督こそ向いていないタイプの監督さんにも感じています。

それは彼が自分の型に選手をはめるタイプの監督だからです。

 

就任当初からハリルさんはフィジカル強化とか体脂肪率とか言っていたじゃないですか。

あれは自分の理想とするサッカーを実現するために必要なことだから、選手に、Jリーグにそれを強いたのです。

もちろん、世界のサッカーの傾向として、アスリート能力の向上は必然です。

より速く、より高く、より強く、そういう傾向は今後も続きます。

 

しかし、4年間という短い期間で彼が求めるレベルのフィジカルが日本人選手に実現できるとは到底考えられません。

そこには骨格や筋肉の種類といった日本人という人種が抱える遺伝子的な問題が出てくるでしょうし、日本人の性質・性格の問題も、Jリーグを頂点にした日本サッカーの構造的・環境的な問題も出てくると思われるからです。

ラグビー日本代表の成功はそれを実現したこともあるかと思いますけど、サッカーでもラグビーと同じことができるのかどうかは検証が必要でしょう。

 

ハリルの求めるフィジカルフットボールを具現化させるためには、それこそ前大会で結果を残したアフリカであったり、黒人と白人が両方所属するフランスやベルギー、イングランド、オランダであったり、または黒人と白人のハイブリッドな選手がいる南米のブラジル辺りだったりの指揮をする他はないのではないでしょうか。

 

日本で指揮を執るのなら、日本人の体格や筋肉、性格などの特徴や、現在のトップレベルがどういった特徴を持った選手たちで構成されているかの分析と理解をし、日本人に合ったサッカーに自らを寄せていく姿勢も必要だった、と私は思います。

現代の日本人のサイズは東アジア内でも一回りは小さいのですから、ハリルさんの要求するマンマークでワールドカップベスト16以上を勝ち取るなんて不可能じゃないかと思えるくらい。

クラブチームであれば、予算の制限はあっても、ある程度自分好みの選手を集めることは可能ですから、そういう意味でハリルさんはクラブチーム向きかなと。

 

オシムの考える日本らしいサッカー

その点、元日本代表監督「イビチャ・オシム」さんは日本人の特徴をよく捉えてくれていました。

 

急いてはいけない 加速する時代の「知性」とは (ベスト新書)

sports.yahoo.co.jp

  

そうだな、何を持っているのかを考え、それを基礎にしていくことだ。私の考えでは、日本人はサッカーに必要なクオリティを一番多く持っている。持って生まれた自然な資質。機動力、アグレッシブさ、スピード、持久力、まじめさ、それらの要素はサッカーにとって非常に大切なものばかりだ。

 

個人的な考えだが、日本はバルセロナスタイルのサッカーを目指すべきだ。運動能力、いい意味でのアグレッシブさ、そういうものを生かして、鳥の集団がひとつかみで獲物を狩るように相手のボールを奪えばいい。バルセロナがそういうやり方をしているだろう。

 

日本人はそういう集団的行動能力を持っている。

 

オシムさんは上記引用部のように語っています。

 

オシムさんが言っていること、これこそが日本人の持っている特徴であり、日本代表が目指すサッカーの方向性だと私は考えています。

オシムさんの言っているスピードは、トップスピードのことではなくアジリティ、すなわち俊敏さやすばしっこさでしょう。

またバルセロナスタイルとは「ジョゼップ・グアルディオラ」監督時代のバルサのことを指していると思われます。

ペップバルサの激しい前プレからのショートカウンターは鬼でしたね。

あれほどまでにポジションを越えたプレスをしていても、選手間のバランスが決定的に崩れずにいられるのは、ペップやコーチの故「ティト・ビラノバ」による戦術の浸透と、選手個々人のアスリート能力や戦術レベルとスキルの高さがあってのことだと思います。

いわゆる「岡田武史」さんが言っていた「ハエがたかるような……」とは大分違うもののはず。

日本代表の一つの到達点・目標としてペップバルサのスタイルは有りです。 

 

おわりに

ハリル・サッカーの閉塞感はもうどうにもならないところまで来ていた感はありましたので、閉塞感を打破するべく起こした田嶋さんの決断と行動を私は評価したいです。

 

西野監督には相当に高難度のミッションが待ち構えています。

期間わずか1ヶ月ほどで組織を構築しなければならないからです。

構築できなければ、最終的には勝手知ったる選手で固めることも、一つのクラブチームをごっそりそのまま持ってきてしまう荒業もなくはないでしょうか。

攻撃は川崎フロンターレ、守備は鹿島アントラーズみたく。

いやクラブ側から断られるでしょうけど。

 

考えよ! ――なぜ日本人はリスクを冒さないのか? (角川oneテーマ21 A 114)

考えよ! ――なぜ日本人はリスクを冒さないのか? (角川oneテーマ21 A 114)

 

  

スポンサーリンク