NHK連続テレビ小説『わろてんか』、2018年3月31日放送の151話で最終回を迎えました。
以下、最新話のネタバレ要素がありますので、バレても構わない方のみ下方スクロールをお願いします。
目次
『わろてんか』第26週(最終週)「みんなで わろてんか」
2018年3月26日月曜日から朝ドラ『わろてんか』は第26週「みんなで わろてんか」の放送が始まっています。
いよいよ最終週です。
『わろてんか』26週の時代設定は、昭和20年(1945年)です。
太平洋戦争末期、終戦の年ですけど作中は3月からでしたか、大阪大空襲が発生した辺りから始まっていました。
本作のヒロイン「北村てん(きたむら・てん、演:葵わかな)」は、17週に夫の「北村藤吉(きたむら・とうきち、演:松坂桃李)」を亡くし、以降「北村笑店(きたむら・しょうてん)」社長に就任しています。
籐吉との間にできた子ども「隼也(しゅんや)」は、アメリカのショービジネスに興味を持ち、通っていた大学を退学して渡米しました。
帰国後は北村笑店で下働きなどをしていましたが、「加納つばき(かのう・つばき、演:水上京香)」と駆け落ちをする道を選んで、「てん」から勘当されています。
26週現在、隼也は軍隊からの召集を受け、神奈川県の川崎から大阪に戻ってきて、「つばき」と一人息子の「藤一郎」を「てん」に預けた後に戦地へと赴きました。
「てん」の従兄弟の「武井風太(たけい・ふうた、演:濱田岳)」が専務、「てん」の経理を手伝っていた「トキ(演:徳永えり)」は一人娘の「飛鳥(あすか)」の育児が落ち着いたことから業務に戻っています。
「てん」のかつての見合い相手で、籐吉の親友でもあった「伊能栞(いのう・しおり、演:高橋一生)」は、トーキー映画を扱う映画会社から不動産、百貨店など手広く手掛ける「伊能商会」を経営しつつ、北村笑店の役員として「てん」を支えていました。
しかし25週から栞はアメリカへ渡っています。
「風鳥亭」の元席主「亀井庄助(かめい・しょうすけ、演:内場勝則)」は北村笑店の従業員を続けてきましたが、戦争が激しくなり、北村笑店の営業もままならなくなってきたことを機に疎開をしました。
「万丈目吉蔵(まんじょうめ・きちぞう、演:藤井隆)」は、芸人を辞めて北村笑店文芸部の部長として、漫才のネタを書く作家業に専念していました。
しかし、体調を崩したこともあって、妻の「万丈目歌子(まんじょうめ・うたこ、演:枝元萌)」と奈良へ養生へ向かっています。
かつて「てん」のライバルだった「杉田楓(すぎた・かえで、演:岡本玲)」は、北村笑店文芸部に入ってネタの台本を書いていました。楓も北村笑店の解散と共に親戚のいる田舎へと疎開することにした……んでしたっけ。
藤吉の芸人時代からの仲間で、しゃべくり万歳でお笑い界のトップに立っている「キース(演:大野拓朗)」と「アサリ(演:前野朋哉)」は、「喜助と浅利」として活動を続け、北村笑店解散後も大阪に残っています。
「岩さん(がん・さん、演:岡大介)」は亡くなっているみたいです。
「てん」のライバル「リリコ(演:広瀬アリス)」は「川上四郎(かわかみ・しろう、演:松尾諭)」と「ミス・リリコ・アンド・シロー」改め「凛々子と四郎」として活動を続け、北村笑店解散後も大阪に残りました。
青空喜劇「北村笑店物語」
149、150話で伊能栞や、リリコと四郎、亀井、キースとアサリ、万丈目夫妻、そして隼也といったメインの役どころが続々と「てん」の元に戻ってきました。
151話、最終話は北村笑店の歴史を笑いで描いた人情喜劇、今でいうところの「吉本新喜劇」の走りのような演劇を開催しました。
簡易の舞台を手作りし、お金も取らない、その名も青空喜劇「北村笑店物語」です。
藤吉役は、亀井さんが連れてきたのでしょうか、「田口」という若手の旅芸人が演じ、見た目がどこか藤吉というか松坂桃李さんに似ています。
田口は「辻本祐樹(つじもと・ゆうき)」さんが演じました。
最終回の15分間ほぼ丸々新喜劇でした。
言い換えると『わろてんか』の物語は15分間演じられるくらいのあれな内容だった……?
『わろてんか』全体の感想
最終回の演劇の感想はあれなので、『わろてんか』の感想を書きます。
前作『ひよっこ』が『あまちゃん』を少なからず意識したであろう作品の現代劇、といっても今から50年ほど前の話ですが、だったことで、明治から昭和初期までの時代の物語になった『わろてんか』は、そういう意味では『ひよっこ』との比較はしにくい話です。
女社長の半生記を綴った物語という意味で、似た物語の話として、『わろてんか』のちょうど1年前に放送されていた前々作『べっぴんさん』が挙げられるかと思います。
内容や設定だけでなく『わろてんか』は悪い意味で『べっぴんさん』に似てしまった作品です。
私はこの2作品はずっとダイジェストを見せられているような感覚で観ていました。
書きたいことを絞らずにいるために、物語が広く浅くなり、一つ一つのエピソードが薄くなって、各キャラクターの個性が立ちにくく、視聴者がエピソードやキャラクターになかなか感情移入しづらい状況に陥ってしまっているように感じられます。
本作品の中で唯一といっていい程光っていた存在は「風太」です。
風太が「過ぎる」くらいに生き生きとしていたことで、ヒロインの「てん」を食ってしまい、良くも悪くも本作を特徴づけていました。
良い意味では、風太を演じる「濱田岳」さんが素晴らしい俳優さんだということを再発見できたことを示しています。
悪い意味では、ヒロイン「てん」を演じる「葵わかな」さんが演者としてまだまだ未熟であることが示されていました。
本作は、あくまでも「てん」が藤吉を支えて「北村笑店」を立ち上げ、大きくする下支えになったり、藤吉の死後は女社長として会社をさらに全国規模にまで大きくしたり、そういう物語にしなればならなかったはずです。
ところが実際には、「てん」が会社の大きな方針を提案をし決断を下すのではなく、ほとんどを風太がそれをしてしまっていました。
「てん」はそんな風太に従うだけのように見えることがしばしばだったと思います。
モデルの「吉本せい」さんがどのような方だったのかは存じないのでその点何とも言えないものがありますけど、物語としては風太がやっていたようなことを「てん」がしなければならなかったよね、と思うのです。
例えば、風太はオーダーメイドと思われる服を着こなすお洒落さん、甘いものが好き、すぐに怒るし大声を張り上げるけど、人情味があって涙もろい、仁義に厚い、「トキ」にはとことん弱い、みたいな人間の特徴がすぐに思い出されます。
「てん」はどうだったでしょう?
「てん」がどのような性格だったのか、どのような色が好きなのか、どのような食べ物が好きなのか、どのような服が好きなのか、すぐに思い浮かべられるでしょうか?
おそらく多くの方がすぐには思い浮かばないと思います。そういうことです。
私は葵わかなさんを責めているのではありません。
むしろよく頑張っていたなと思います。
未熟な俳優さんをヒロインに起用する側の問題だとは思います。
葵さんはオーディションで選ばれたそうですが、それは出来レースだったのではなかったのか、朝ドラを大手プロダクションの若手お披露目の場にしてはいまいか、という疑問はあります。
もちろんそういう形だけのオーディションが行われたかどうか私にはわかりませんし、そういうオーディションだからといって駄目な俳優さんだと決まっている訳でもありません。
ただ、そういう形だけのオーディションが行われているのであるならば、力が足りていない俳優さんをヒロインに選んでしまうリスクも当然あるだろうなとは思います。
葵わかなさんがそうだとは断言しませんけど、可能性は……とは考えてしまいます。
演者やスタッフたちがこの1年間体を張って頑張っていたことは、葵わかなさんや濱田岳さんが出演していた『あさイチ』で語られていました。
しかしながら、そういうことは朝ドラなら毎作品同じなはずですし、頑張っていたから良い俳優、良い作品と評価されるべきだと考えるのは違うでしょう。
頑張ってこられたことは評価しつつも、それでも演者として作品として良かったかというと、それはそれこれはこれなのです。
おわりに
ということで『わろてんか』が終わっての感想でした。
いわゆる「ロス」はなかったです……。
次作『半分、青い。』は『あまちゃん』や『ひよっこ』を強く意識した作品になりそうな感じがして、個人的には今回より期待しています。
が、今の時点で不満に思うことは、脚本家が「北川悦吏子」さんだということです。
案の定、ヒロインの「永野芽郁(ながの・めい)」さん演じる「楡野鈴愛(にれの・すずめ)」は左耳でしたか、どちらかの耳に聴力がない人みたいなのですねぇ。
北川作品にそういうの多すぎません?
『愛していると言ってくれ』『ビューティフルライフ』『オレンジデイズ』……。
そういうことナシに、すずめが漫画家になる話で良いのになぁと思いました。
感動なんちゃらかいって。