『大相撲』の「平成二十九年十一月場所（2017年九州場所）」は、2017年11月26日十五日目、千秋楽でした。最後の最後まで残念な場所でした。
大相撲2017年九州場所・十五日目（千秋楽）
平成二十九年十一月場所（九州場所）が2017年11月12日から始まっています。今年最後の大相撲です。会場は福岡国際センター。
今場所は、4人いる横綱のうち「鶴竜（かくりゅう）」が休場、「日馬富士（はるまふじ）」と「稀勢の里（きせのさと）」が途中休場をして、「白鵬（はくほう）」の一人横綱でした。
他にも西の大関「高安（たかやす）」が13日目から、東の関脇「照ノ富士（てるのふじ）」が5日目からそれぞれ休場しており、6人もいる横綱大関のうち千秋楽までの15日間を取りきった力士は白鵬と東の大関「豪栄道（ごうえいどう）」の2人という寂しい場所になっていました。照ノ富士は今場所二桁勝利をすれば大関復帰となる大切な場所でしたけれども来場所の大関復帰はなくなっています。
優勝は白鵬が幕内40回目の優勝を果たしています。一時の低調から脱したかのように、再びかつての白鵬の一人勝ち状態が戻ってきた印象です。白鵬としては横綱としての責任を全うした形。解説をしてた「北の富士（きたのふじ）」さんは白鵬の一人勝ち状態は笑い事ではないと仰っていました。
三賞は、殊勲賞が西前頭筆頭「貴景勝（たかけいしょう）」、敢闘賞が東前頭12枚目「隠岐の海（おきのうみ）」と西前頭13枚目「安美錦（あみにしき）」、技能賞が西前頭3枚目「北勝富士（ほくとふじ）」がそれぞれ受賞しました。受賞した4人は、上位の休場が相次ぐ中で、場所を盛り上げたお相撲さんたちです。
白鵬の優勝インタビューの違和感
「場所後に真実を話し、膿を出し切って日馬富士関と貴ノ岩関が再びこの土俵に上げてあげたいなと思います」
この発言は白鵬が会場で優勝インタビューを受けていた際に言ったものです。私はそのとき中継を見ておらず後にニュースで知りましたが……驚きました。このようなことを白鵬が言って良いものなのでしょうか。
日馬富士は貴乃花部屋のモンゴル出身力士「貴ノ岩（たかのいわ）」を殴ったことで今場所途中休場しています。相撲協会に届け出た休場の理由は怪我だったかと思いますが、暴行の件がニュースで大きく取り沙汰された翌日に休場をしていたことから、本来の理由は件の暴行にあることは明らかです。
当の日馬富士は貴ノ岩への暴行を認めています。貴ノ岩の師匠の「貴乃花（たかのはな）」親方は警察に被害届を提出していて取り下げるつもりはないと言っているみたいですし、警察は現在捜査中でしょう。そもそも白鵬は現場に居合わせていた一人です。白鵬が日馬富士に共謀した疑いが全くない訳ではありませんから、現時点で彼が公に件のことを発言するのは控えた方が良い段階と思います。話すなら警察に、ですね。
「場所後に真実を話し」の部分に違和感があります。確か、白鵬は場所中に「報道されているような、ビール瓶では殴ってはおりません。持ったけど滑り落ちました。すぐに止めに入って部屋から連れ出した」と説明していたかと思いますが、これは真実ではないということでしょうか？ 嘘の証言をしたということならそれは大きな問題です。いたずらに事態を混乱させたのですから。
「膿を出す」の部分にも違和感があります。事件の当事者である白鵬が言う台詞ではないです。膿を出すのは警察であり相撲協会でしょうから、協会トップの「八角（はっかく）」理事長を差し置いて、一力士、それも当事者の一人である白鵬が言う言葉ではないです。
「日馬富士と貴ノ岩を再びこの土俵に上げて」も違和感しかないですね。この発言では日馬富士を擁護していると受け取れます。あたかも2人を土俵に復帰させる権限が自分にあるかのような、日馬富士が土俵に戻ることが既定路線かのような言い方です。日馬富士は現状では逮捕・起訴される可能性がありますから今言えることではないでしょう。
しかもインタビューの最後に会場に万歳三唱を呼びかけて実際に会場で万歳をやったようですね……これも非常におかしな話です。このような混乱が起きていて、しかも自分自身も場所中に行司の判定や審判団に対して不服の意思を見せたパフォーマンスまでしていましたから、謝罪に終始するならまだしも万歳をする・させるなど考えられないことです。一緒に万歳をした会場の方々も、今現在大相撲で起こっている事態を理解していらっしゃらないのかと聞きたいくらいです。
それにしても暴行事件の起こったあの日、横綱3人を含むモンゴル人力士で会って何を話していたのでしょうね。十両の「石浦（いしうら）」も場には居たみたいですからモンゴル人だけではないみたいですが。真っ黒な可能性もあり得ますね、これは。八百……？
おわりに
このように日馬富士だけでなく、今場所は白鵬の言動にも問題が多かった印象です。元から色々と言われていた人ですので余計に悪目立ちをしていました。これまで相撲界は彼におんぶに抱っこでしたから、協会が彼に強く言えないのかもしれませんけど……インタビューの内容や万歳をしたことを考えると、完全に舐められていますよね、協会。もっと言うとファンも。
個人的には今場所かなりゲンナリしてしまいました。今の横綱連中が全員引退するまで観なくてもいいんじゃないかレベルで。いや観るんですけど。今場所は横綱が出てくるとテレビの音量をミュートにしていました。今後もしばらくはそうすることになりそうです。
兎にも角にも日馬富士の一件で警察がどのような捜査結果を導き出すのか、そこですね。真実が明るみに出るためには、貴乃花親方には今の姿勢を（被害届を取り下げないよう）貫いてもらわねばなりません。
