『大相撲』の「平成二十九年七月場所(2017年名古屋場所)」、2017年7月17日は九日目です。
大相撲2017年名古屋場所
平成二十九年名古屋場所は9日目、9日目が終わって東の横綱「白鵬(はくほう)」が9戦全勝の勝ちっ放しです。昨日8日目に勝ち越しを決めていて、優勝争いも他をリードしています。
今場所が新大関の「高安(たかやす)」は9日目に勝ち越しをかけた一番を取りましたが、東の小結「嘉風(よしかぜ)」に寄り切られて2敗目を喫しています。勝ち越しは明日以降にお預け、優勝争いからも一歩後退してしまいました。
横綱の「鶴竜(かくりゅう)」と「稀勢の里(きせのさと)」、大関の「照ノ富士(てるのふじ)」といった上位と、人気力士の西前頭三枚目「遠藤(えんどう)」といったところが怪我によって途中休場したことにより、少々寂しい場所となっています。
西の大関「豪栄道(ごうえいどう)」や東西の関脇「玉鷲(たまわし)」と「御嶽海(みたけうみ)」といったところは、今場所好成績を収める絶好のチャンスです。
しかし、ここまでのところ御嶽海が3敗で豪栄道と玉鷲が4敗と、既に優勝争いからは二歩散歩後退していて、優勝争いの観点からも盛り上がりに欠けた場所と言わざるを得ません。
宇良の横綱挑戦
そんな中、この名古屋場所を大いに沸かせている力士がいます。私も応援している木瀬部屋の「宇良(うら)」です。
宇良の今場所の番付は東の前頭四枚目で、3日目に「輝(かがやき)」、7日目に「御嶽海」に負けたものの、プロ入り以降、最上位の前頭四枚目で前半戦5勝2敗は立派な成績です。
白星の中には、これまで苦手としてきた西前頭筆頭「貴景勝(たかけいしょう)」も含まれています。初勝利。
昨日の8日目では何と「白鵬」との取組が組まれました。宇良にとって初めての横綱戦が、生ける伝説の白鵬でした。
宇良自身、前頭四枚目なら大関と組まれることはあるかもしれないとは考えていたようですけど、まさか横綱と当たるとは考えていなかったようでした。横綱との対戦を組まれた理由は、宇良の成績と、上位の休場の影響があったと思います。
白鵬との相撲は「すくい投げ」で宇良が負けています。左腕がバンザイ状態になってしまい、得意の土俵際でも為す術がなかったです。取組後、白鵬は「宇良が裏返った」などと冗談を言っていたそう。
今日9日目は西の横綱「日馬富士(はるまふじ)」と対戦でした。結果は宇良が「とったり」で日馬富士に勝利しました。初の金星です。あの低く鋭い立合いの日馬富士のさらに下を行っていました。
勝利した後、宇良は力水をつけるために土俵脇に立っていましたが、文字通りの放心状態に見えました。自分でも信じられない思いだったのでしょう。
引き上げた後には勝利インタビューがありました。そこでも宇良はインタビュアーの質問に対して、声が小さくとぎれとぎれの受け答えをしていて、最後の方には涙を流していました。
相撲内容は、無我夢中で身体が自然に動いた、ということを言っていたでしょうか。
この日の実況はNHK「佐藤洋之(さとう・ひろゆき)」アナウンサー、正面の解説は「北の富士勝昭(きたのふじ・かつあき)」さんでした。お二人とも、宇良の涙のインタビューにもらい泣きをしたようで、北の富士さんなどは声もしっかり出ていなかったですね。
感動的なインタビューでした。
おわりに
いやいや本当に勝てて良かったですね。何せ相撲取りの頂点である横綱に勝つことができたのですから、感慨もひとしおでしょう。
宇良はあと2勝で勝ち越しです。何とか8勝に乗せたいですね。横綱挑戦は今日で終わったので、明日からは大関戦です。明日10日目の相手は新大関の「高安」です。高安のあの豪快な「ぶちかまし」をどのようにしのぐのか、立合いが見ものです。