NHK連続テレビ小説『ひよっこ』、2017年4月15日放送の第12話は、美代子が実を捜しに上京しています。
以下、最新話のネタバレ要素がありますので注意してください。バレても構わない方のみ下方スクロールをお願いします。
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『ひよっこ』第2週「泣くのはいやだ、笑っちゃおう」
2017年4月10日月曜日の放送から『ひよっこ』の第2週「泣くのはいやだ、笑っちゃおう」が始まっています。物語の時代は「東京オリンピック」の年なので昭和39年(1964年)でしょう。
本作のヒロイン「谷田部みね子(有村架純)」の父「谷田部実(沢村一樹)」が、家の稲刈りを終えて再び東京へ出稼ぎに行きました。実は東京で再び建設業の日雇い労働に従事するはずでしたが、失踪ししてしまったようです。
みね子が実に書いた手紙や、みね子の母「美代子(木村佳乃)」が送った小包が「宛先不明」で戻ってきたことで、奥茨城の谷田部家の人たちが事態に気が付きました。
谷田部家に戻ってきた郵便物を受け取ったのは美代子で、美代子は義父(みね子の祖父)「谷田部茂(古谷一行)」には伝えましたが、みね子やみね子の妹「ちよ子(宮原和)」、弟「進(高橋來)」の子どもたちには伝えていません。
心配になった美代子は、茂や実の弟「小祝宗男(峯田和伸)」からの勧めもあって、単身上京することにしました。みね子たちには福島県にいる親戚に不幸があったということにしています。
捜索願を出すことに
東京に着いた美代子、早速実が寝泊まりしていた宿舎へ向かうも、彼の荷物があるばかりで新たな情報や手がかりはなく、建設会社にも行きましたが同様です。
実を見つけられなかったり新たな情報を得られなかった場合には、警察に捜索願を出すことに決めていたましたから、その通り美代子は警察へと向かい、捜索願を提出しました。
実を、失踪者捜索の担当者に失踪者の一人、出稼ぎ労働者の一人として扱われたことに、腹を立てた美代子は「出稼ぎ労働者を一人探してくれとおねがいしているのではありません。ちゃんと名前があります!茨城の、奥茨城村で生まれて育った『谷田部実』という人間を捜してくださいとお願いしています!」と大きな声で主張していました。
大粒の涙を流しながら、でも決して負けないと力強い眼差しで、声を大きく上げながら、でも決して乱暴な物言いをしないで、警察官からの言葉からは田舎者の蔑みも含まれていることを感じ取っているはずなのに……いや、だからかもしれませんが、美代子の高潔な姿勢に涙が出そうになりました。木村佳乃さんの素晴らしい演技でした。
綿引正義(わたひき・まさよし)
11話から登場人物が加わっています。「綿引正義(わたひき・まさよし)」という警察官です。「竜星涼(りゅうせい・りょう)」さんが演じています。
綿引は赤坂警察署管内の五丁目派出所に勤務しています。実の捜索願を出しに来た美代子の言葉を聞き、また同郷の茨城県人ということで、役に立ちたいと美代子の前に現れました。
あくまでも個人的な行為になるため、非番のときにしか動くことはできないようです。それでも東京に知り合いなどいない美代子にとっては大層心強い存在になることでしょう。
家族の手紙
また、先ほどは何も手がかりがないと言いましたが、おそらく美代子は東京へ行ったことで、実が自ら逃げるように失踪したのではないと確信を持ったことでしょう。それは宿舎に残された実の荷物にヒントがありました。
実たちが寝泊まりしていた宿は宿などと呼べる代物ではなく、労働者を人とは思っていない、まるで家畜小屋のような場所でした。大人の男がすし詰め状態でただ寝るだけの場所。そんなところで実は毎晩過ごしていました。
実の手荷物には、家族からの手紙の束が入っていました。そんな環境で寂しくなった夜に、実はみね子たちの手紙を読んで淋しさを紛らわし、明日への活力にしていたはずです。
大切にしていたはずの手紙まで宿に残したまま、どこかへ消えるはずがないのです。
すずふり亭へ
美代子は夜、赤坂の「すずふり亭」へと向かいました。以前、実が帰郷前に立ち寄って「ハヤシライス」を食べて、「ポークカツサンド」を手土産にもらったあの洋食屋です。
「すずふり亭」の店主「牧野鈴子(宮本信子)」と、鈴子の息子で料理長の「牧野省吾(佐々木蔵之介)」が美代子を迎え入れています。美代子は閉店時間まで外で待っていたようです。そういうところに気が回る人なのですね。
店内に招かれた美代子は実の失踪の件を2人に話しました。鈴子も省吾も驚きつつ、実が家族を残して疾走するような人間ではないと美代子を元気づけていました。
以前、実が店に来たときにハヤシライスを美味しそうに食べていたこと、家族にも食べさせてやりたいと嬉しそうに語っていたことを覚えているからです。
また、実がお土産に頂いたポークカツサンドのお礼にと、再上京した際に鈴子たちに「饅頭」を手渡していました。美代子お手製です。
饅頭が入ったお重は、いつか取りに来ると実が言っていたことから今も「すずふり亭」にあります。鈴子は美代子に返そうとしたのですが、思いとどまりました。実が取りに来ると言っていたのだからきっと戻ってくるはずで、彼にお返ししますと。優しい心遣いですね。
上野駅の構内にて
そうして、美代子は実を見つけられなかったばかりか手がかりすら掴めないまま、帰郷することになりました。
美代子が駅の構内で始発の電車を待っていると、何と鈴子と省吾が来てくれたのです。きっと駅で電車を待っているはずだと、鈴子が言って利かなかったそうです。
鈴子たちは美代子が独りで心細い思いをしているに違いないと思ったのでしょう。でもそのことは決して言葉にせず、せっかくのご縁だからお喋りしましょうとだけ言うのですね……。
いなり寿司だったでしょうか、それも持ってきていて一緒に食べましょうと。実は省吾たちは美代子に「すずふり亭」で料理を御馳走しようとしました。しかし、美代子はそれを辞退していのです。実がいつか家族で「すずふり亭」の美味しい料理を食べに行こうと言っていたので、それまではと。
ですから省吾たちは「すずふり亭」の料理でなければ食べてくれると思って、いなり寿司を持参してきたのでした。
美代子はどれだけ心強く感じたことでしょうね。心がほんわかしました。
おわりに
気になったことは、実が残した荷物の中でザック(リュックサック)がないことです。上京するときには常に背負っていたはずですが、宿舎にはありませんでした。
実は背負って出ていったということは、少なくとも衝動的に飛び出していったのではないのでしょうか。事件に巻き込まれた訳でもなさそうな気がしてきます。ただ、手紙は置いていますから……う〜ん、何が起こったのでしょうね。
それにしても素晴らしいドラマです。久しぶりに良質な朝ドラを観ている思いがします。2週目もたいへん良かったです。しみじみさせられました。
『ひよっこ』は派手さがないどころかはっきりと地味な作品です。脚本的にも演出的にも。台詞も「びっくりポン」とか「どうしたもんじゃろの〜」「何か、何かな……」とか印象的なフレーズは今のところありません。
この作品にはそういうものは必要ないと思います。じっくりコトコト煮込むように、丁寧に作られています。
第3週「明日に向かって走れ!」です。みね子が「角谷三男(泉澤祐希)」と「助川時子(佐久間由衣)」と考案した奥茨城村独自で開催する東京オリンピックの「聖火リレー」が実行されそうです。また、みね子は美代子たちから実の失踪の話を聞かされたようでもありました。上京して就職することになりそうです。金の卵。