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松田さんから初太郎とみよ吉の死の真相が語られました。八雲の「果てしない闇のような落語」の意味もわかりました - アニメ『昭和元禄落語心中 ‐助六再び篇‐』7話(20話)の感想

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毎週土曜日02:25(金曜深夜26:25)より、TBSの「アニメイズム」枠にてアニメ『昭和元禄落語心中 ‐助六再び篇‐』が放送されています。

以下、ネタバレ要素がありますので注意してください。バレても構わない方のみ下方スクロールをお願いします。

 

目次

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アニメ『昭和元禄落語心中 ‐助六再び篇‐』

rakugo-shinju-anime.jp

 

2017年2月18日の放送は2期第7話(20話)でした。サブタイトルがない作品です。

 

イントロダクション

刑務所の落語慰問会で見た大名人・八雲の「死神」が忘れられず、
出所した与太郎が真っ先に向かった先は、寄席だった。
拝み倒して八雲の住み込みの弟子となった与太郎だが、
八雲の元では小夏という女性が暮らしていた。
八雲と小夏には他人が容易に触れられない因縁があるらしく…

こちらが1期のイントロダクションです。ABOUT/STORYページから抜粋しました。

拝み倒して約もの住み込みの弟子となり、芸を磨いた与太郎はついに真打へと昇進する。
継いだ名跡は三代目助六。
八雲師匠の為め、小夏の為め、二人の中の助六を変える為め、与太郎が見出す己の落語とは…。

こちらは2期のイントロダクションの一部です。

 

『昭和元禄落語心中』2期7話(20話)

2期7話は、2期の主人公と思われる「与太郎(よたろう)」こと三代目「有楽亭助六(ゆうらくてい・すけろく)」の師匠である八代目「有楽亭八雲(ゆうらくてい・やくも)」が、病院で意識を取り戻してからの話です。

八雲は、与太郎と一緒に出演した「親子会(おやこかい)」での公演中に倒れてしまいました。心筋梗塞ということで予断を許さない状況でしたが、一命を取り留めています。

 

八雲が落語を引退?

意識を取り戻したのは良いものの、その後、八雲は高座には上がろうとしていないようです。仕事を断り、先代から八雲の付き人をしている「松田(まつだ)」さんにも暇を出そうとしています。このまま引退するのでしょうか。

病院の外で、与太郎の妻「小夏(こなつ)」と2人で会話していると、八雲は倒れた後、思うように口から言葉が出てこないことで、自信を失いつつあるようでした。怖くて高座に上がれないと。

しかし、それは建前だと小夏には見透かされます。本音を言いなと。

すると八雲は、倒れたときに「これでもう落語をしなくて済む」とも思ってしまったようです。落語をしたいとはちぃとも思わないと。思い通りに話せないのは地獄の釜の中にいるようだと。

落語に満足するときがやって来た、とも考えているみたいでした。先代・八雲や先代・助六がそうだったような、その瞬間が自分にもやって来るとは思っていなかったそうです。自分から落語が抜け落ちたらもぬけの殻だと。

「そういうのを因果応報ってんだろ。ざまぁねぇな」と返す小夏です。冷たく突き放すような言葉でありますが……そうは言いながらも八雲に寄り添っている小夏です。

 

与太郎、四国へ行く

前回、売れっ子作家の「樋口栄助(ひぐち・えいすけ)」が、先代・助六の映像が見つかったと、与太郎に言っていました。

与太郎と樋口、それと松田さんの3人で四国へ行き、その映像を確認することに。場所はおそらく徳島県三好の「祖谷温泉(いや・おんせん)」と思われます。

与太郎たちが観たフィルム映像は1期12話で初太郎(先代・助六)と菊比古(八雲)が演じていた「有楽亭二人会」の内容です。内容は「芝浜(しばはま)」でしたか。

与太郎は音声で初太郎の落語を聴いたことはありましたが、映像は初めて、懐かしさから涙をこぼす松田さんとは別の意味の涙を流していました。

 

松田さんが真相を話す

映像を見た後、初太郎と「みよ吉」の墓をお参りする3人。そこで松田さんは初太郎とみよ吉が亡くなったときの真相を話していました。

 

二人会の後、会場になった旅館に泊まることになった3人、夜に菊比古がある客から呼び出されました。菊比古を呼び出した客はみよ吉です。助六の妻、小夏の母……と、今書いていて気づいたのですが、助六とみよ吉は正式に結婚しているのでしょうか?していなさそうな気がします。

みよ吉は菊比古が迎えに来てくれることを信じて待ち続けていたと言います。もう助六はうんざりだから二人きりで行こうと。真っ先に会った人間が助六でも小夏でもなく菊比古であるところがみよ吉の悪女たる所ではあります。しかし、菊比古も菊比古でして、その誘惑に負けてしまうんですねぇ……。

「あなたのせいで狂った人間同士よ」というみよ吉の台詞が怖いです。いやいや、狂わせているのはみよ吉だと思いますが……いや、どっちもどっちですか。菊比古が完全に見捨ててしまうことが何よりみよ吉のためだと、私は思っていますけれども、関係を断ちきれない優しさというか弱さというか、そういうものが菊比古の中にはあります。

そうして菊比古に抱きついたみよ吉は、そこで「私たち死んじゃおっか」と心中を提案するんですねぇ。2人がいる旅館の部屋は高いところにあって、窓の下の随分低いところに川が流れています。落ちたら間違いなくただでは済まない高さです。菊比古を窓辺へと追いやるみよ吉、そこへやって来たのは助六でした。

助六はみよ吉とよりを戻そうと土下座をします。落語も辞めて真っ当に働くことを宣言していました。落語よりも大切なものを見つけたと言っていたでしょうか。落語より大切なもの、それはみよ吉であり小夏であります。家族ですね。

自分のため落語のために助六を取り戻しに来た菊比古にとっては、助六の落語を辞める宣言は、助六にフラれたようなものです。そして、本当はみよ吉も助六のそういう言葉を待っていたのかもしれません。菊比古を待つために家を出なかったとみよ吉は言っていましたけど、もちろんそれ自体本心ではあるのでしょうけれども、それだけではなかったはずです。菊比古はみよ吉にもフラれたと言えそうです。

最後、そのやり取りの最中にみよ吉が窓から不意に落ちてしまい、みよ吉を助けるために助六も一緒に窓から飛び降り、一時は菊比古が腕一本で2人を支えていましたけど、さすがに大人2人は重すぎて、菊比古は最後に手を離してしまいました……。大人の男女なら計100kgほどあるでしょうからねぇ、無理です。

みよ吉を助けるとき、助六は「ゆりえ!!」と叫びました。菊比古はそのとき初めてみよ吉の名前を知っています。菊比古とみよ吉はそういう間柄でしかなかったし、助六とみよ吉はそういう間柄なのだという、この2つの関係性の決定的な違いが興味深いものでした。

これは本ブログの12話のことを書いた記事の一部です。

このようにして、みよ吉が旅館の部屋の窓から不意に落ちてしまい、それを助けようと飛び出した初太郎も落ちそうになり、菊比古がそんな初太郎の腕を掴んで落とすまいとしましたが、大人2人の体重を片手で支えられるはずもなく、手からすり抜けて初太郎とみよ吉は窓の下を流れる川へと落ちてしまいました……という話が1期でした。

確か、この内容は八雲(菊比古)が与太郎に話した「当時」の事の真相だったはずです。しかし、松田さんの語る内容は1期の内容とは異なりました。

 

松田さんの語った事実は、何らかの理由で「みよ吉」が初太郎を包丁で刺し、それを観た小夏がみよ吉を窓から突き落とし、落ちたみよ吉を助けようと(みよ吉に刺され血を流している)初太郎がみよ吉を捕まえましたが、持ちこたえられず自らも窓から落ちてしまった……というものでした。

 

小夏は父・初太郎のことが大好きでしたし、母・みよ吉のことをよく思っていません。ろくに働かない初太郎、そんな父親のようになってもらいたくないからでしょうか、みよ吉は小夏に対して、彼女の大好きな落語を奪っていたのです。みよ吉が落語を遠ざけた理由は、好きな菊比古のことを思い出すから、かもしれません。そんな大好きな父を大嫌いな母が刺した、という事実を知り逆上したのですね。

小夏は気が動転していて、突き落とした後には興奮のあまり気を失い、その後事件の記憶がハッキリしていないようで、菊比古は全て自分がやったこととして、小夏にもそう言い続けている(真相を隠し続けている)、というのが松田の話した事の真相でした。悲しい……。

 

八雲は落語と一緒に心中するつもりだという、タイトル回収でもありました。落語という大衆文芸がこのまま自分の死とともに廃れていく、そういう意味でのタイトルでもあるのでしょうし、初太郎とみよ吉とのことを含めてのタイトルでもあるのでしょう。

 

おわりに

東京に戻った与太郎は、小夏に泣いて抱きついていました。真相を知った与太郎は小夏の辛さも八雲の辛さもわかっています。

小夏は与太郎に優しく「言ってみな」と語りかけていましたが、でも言えるはずがないのですね……八雲が頑なに隠し騙してきた事実を自分から勝手に話す訳にはいかないですし、真相を知ったとき小夏がどうなるかもわからないですから、言えないです。

それにしても、業の深さと言いますか、八雲は落語をするたびに、初太郎とみよ吉が亡くなったこと、小夏が突き落としてしまったことを思い出していたのですよね。樋口先生が八雲の落語を「果てしない闇のような落語」と評していましたが、それもそのはずです。

真相を知った後に、Aパートの八雲と小夏の会話を聞くと、「因果応報」の言葉がより重みを増してきます。小夏が言っているところがまた罪深いという。

 

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