ディスディスブログ

気分変調症の男がテレビ番組の感想やカメラ、ファッションのことなどを書きます

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元旦にNHK『富士山 森羅万象 〜大山行男が撮る神秘の素顔〜』で放送された「PENTAX 645Z」による「タイムラプス撮影」された富士山が凄まじかったです

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2017年1月1日元日の04:00-04:45に、NHK総合にて『富士山 森羅万象 〜大山行男が撮る神秘の素顔〜』という番組が放送されました。

 

 

『富士山 森羅万象 〜大山行男が撮る神秘の素顔〜』

大晦日の夜に何となく番組表を眺めていたところ、大晦日の深夜というか元日の未明に『富士山 森羅万象 〜大山行男が撮る神秘の素顔〜』なる番組が放送されることを知りました。

どうしても観たい訳ではなかったのですが、元日に観る番組がなくて退屈するだろうからと録画することにして、案の定元日の午後に暇になってきたので観たところ、これが思いの外面白く、番組の45分間があっという間に感じられました。

 

写真展「富士森羅万象」 (ふじしんらばんしょう) |リコーイメージングスクエア新宿|写真を楽しもう|RICOH IMAGING

 

私は不勉強のため「大山行男(おおやま・ゆきお)」さんなる写真家さんを知りませんでした。名前が彼のことをよく表していると感心しますが、大山さんは40年もの長きに渡り「富士山だけ」を撮影し続けている写真家なのだそうです。

大山さんは誰も撮ったことのない富士山を撮っている方で、その作品の一部が上記リンク先にある、『写真展「富士森羅万象」』というリコーイメージングさんのWebページから見ることができます。

 

 

大山行男さんという人間が面白い

写真そのものも大変魅力的なのですが、この大山さん自身もなかなかに面白い(Interestの方です)方でした。大山さんは40年前の24歳頃に、カメラを持って全国を旅していたときに富士山を撮って、それ以来富士の魅力に取り憑かれたそうです。

土木工事をしながら独学でカメラを学び、毎週末山に出かけて富士を取り続けた、とナレーションが入っていました。

個人的に最も驚いたことは、スタジオで記念写真に使われるような大きなカメラ、「8×10(エイトバイテン)」の「大判カメラ」を、風景(富士山)を撮るために野外で用いていたことです。カメラのボディを手作りして、野外で当たり前に使えるようにしたと……。

見るからに重そうな機材を背中に背負って山道を移動して、撮影場所に着いてから組み立てていましたね。大山さんは計算すると60歳代半ばなはずですから、もの凄い体力です。超高精細な富士山の写真を取るためなら苦にならない、ということでしょう。

以前は、その手作りの大判カメラを飛行機に乗せて、空から富士山を撮ったこともあるそうです。空撮。地上での撮影でさえブレを起こさないために三脚を用いているのに、揺れ続ける飛行機で重い大判カメラを持って撮影するなんて、誰もやろうとはしないことと思いますけど大山さんは実行していました。

自分の胸にカメラをぶつけるように当てると、当てた瞬間だけカメラがしっかり固定される技を見出し、チャンスに確実に撮ることができるように、1日2時間トレーニングを1ヶ月積んでから飛行機に乗って撮ったそうです。発想力と行動力が凄まじいです。

そのときの富士山の写真も番組で紹介されていました。夏と冬の富士山が数枚。大判カメラで富士山を空から撮るとこうなるのか!と衝撃を受けます。本当に超高精細なんですね、富士山の大小様々な谷も克明に描写されていますし、ジグザクの登山道もしっかり見えましたし、夏は裾に広がる木の1本1本まで見えていたのではないでしょうか。レベルが違います。

私の自宅の安い液晶テレビではなく大画面の4K対応などのテレビだったら間違いなくもっと細かいところまで見えたことでしょう。この番組は8Kで撮影してハイビジョンで放送されていたそうです。

 

 

番組で使用していたカメラはPENTAXの中判カメラ「645Z」?

今回の番組で大山さんが撮影に使用していたカメラは、「8Kサイズの大型のカメラ」とナレーションでは言われていました。中判のデジタル一眼レフカメラでしょう。

先述のリンクでもわかるように、使用しているブランドは「PENTAX(ペンタックス)」でしたから、中判カメラとなると「645Z」かなと想像しています。私はカメラに詳しくないので間違えている可能性も少なくありません。

仮に大山さんが使用しているカメラが「645Z」だとすると、センサーは「43.8mm×32.8mmのCMOS」のようです。総画素数が5299万画素、ISO感度が100-204800、シャッタースピードが1/4000-30秒とのことです。価格コムさんを拝見したところ、最安値で753,840円(記事作成現在)でした。う〜む。

 

 

「タイムラプス撮影」で富士山を撮る

番組用(?)に撮っていたときは、同じ645Zをレンズを変えて2台横並びにして撮影していました。撮った作品を見る限り、「タイプラプス撮影」をしたものですね。ナレーションなどでタイムラプスの言葉は出てこなかったように記憶しています。

タイムラプスとは、静止画(写真)を連続で撮ってそれをアニメーションのようにつなぎ合わせて動きをもたせる技術、で良いかと思います。

タイムラプスはスマホにも機能があるはず。私はスマホを持っていないのですがEテレのスマホ操作を教える番組でやっているのを見た気がします。

 

[4K]PENTAX 645Z TIMELAPSE 唯一8Kサイズを超えたTIMELAPSE - YouTube

 

上に貼った動画がまさに645Zで撮影したタイムラプス撮影です。撮影者は大山さんではないと思いますが参考まで。とんでもない描写力です。

タイムラプスは1枚の静止画像とも動画とも異なる味わいが出ていました。写真の描写は言うまでもなく素晴らしいのですが、そこに動きが加わることで、時間の経過とともに雲が動いたり消えたり湧いたり、太陽の位置・角度や光の強さ・色味が変わったり、遠くに見える町の風景も変わったりしてきますから、同じ構図でも様々な富士山やその周辺の表情が見られました。まるで生き物のようです。

タイムラプス撮影の他のスチール撮影された写真も、大山さんが撮影する富士山は私が見たことのないものばかりでした。私が知らないだけかもしれません。ダイヤモンド富士や逆さ富士といったよく見る題材でもどこか違う。雲に富士山の影が映る様子や、黄金色に光る雲海、紫色に光る雷、富士山と彩雲がセットになっている写真もありましたね……溜息しか出ない光景。特に彩雲は非常に綺麗でした。彩雲はタイムラプスでも撮っていましたか。

 

 

おわりに

富士山一筋40年、1万点以上もの作品を残してきた大山さんでも、まだ富士山に迫り切れていないそうです。撮れば撮るほどもどかしさを覚えると。

かの葛飾北斎が死の前に「あと5年長生きできたら本物の画工になり得たであろうに」と言ったという話をEテレ『日曜美術館』などで聞いたことがありますけど、大山さんもこういった境地にたどり着いているのかもしれないですね。いや、大山さんはまだお元気なんですけど。

再放送してくれないですかね。私は録画しているのでいつでも見返せますけど、見逃したカメラ好き・写真好き・富士山好きの方に是非観ていただきたいです。ていうかどうしてそんな時間に番組を放送したのか理解できないです。普通に元日の朝にでも放送すれば良かったのに……もったいなさすぎます。

そう言えば大山さんは「全ては生命と捉えることだ。間違っても美しさや形だけを風景として捉えてはいけない」と仰ったそうです。ナレーションで言っていた言葉なのでご本人からは直接聞けませんでした。

私は大山さんのような大きな撮影対象ではなく、身近な草花を撮ることが多いです。機材のレベルも撮影レベルも何もかも、比較しては失礼なほどですけど、これは個人的に陥りやすいなと思ったので心に留めておきます。