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65歳のプロ棋士「松永正一」の生き様は無様でも格好良かったです。鰻を奢らされた零は彼に何を感じたのでしょうか? - アニメ『3月のライオン』9話の感想

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毎週土曜日23:00より、NHK総合にてアニメ『3月のライオン』が放送されています。

 

3lion-anime.com

 

以下、最新話のネタバレ要素がありますので、バレても構わない方のみ下方スクロールをお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年12月10日の放送は9話 「Chapter.18 遠雷②」「Chapter.19 遠雷③」です。

 

 

 

イントロダクション

これは、様々人間が何かを取り戻していく、優しい物語。そして、戦いの物語。
主人公・桐山零は、長兄ころに事故で家族を失い、心に深い孤独を負う17歳のプロの将棋棋士。
東京の下町に一人で暮らす零は、あかり・ひなた・モモという3姉妹と出会い、少しずつ変わり始めていく−。

このようなイントロダクションです。

 

 

9話 「Chapter.18 遠雷②」「Chapter.19 遠雷③」

9話は主人公の「桐山零(きりやま・れい)」が、順位戦ですか、に臨んでいます。

リアルタイムで零がプロの大会で将棋を指すところが描写されるのは結構久しぶりな気がします。最近では、零の心友(?)である「二海堂晴信(にかいどう・はるのぶ)」が解説し、零が負けたNHK杯の対局を「川本(かわもと)」家のビデオで観る、という描写くらいですよね、確か。

 

 

9話から登場した人物「松永正一」

9話では本作初めてとなる登場人物がいました。それが零が対戦した「松永正一(まつなが・しょういち)」です。Twitterの画像ですね。CVは岡和夫さん。公式Webサイトの「登場人物」ページによると「25歳でプロとなり、棋士歴40年の大ベテラン」だそうです。年齢は65歳ということになり、零とは棋士歴だけを見ても倍以上も離れています。

福島県出身。最高成績は「Bイチニ1期」と零は言っていました。どういう意味でしょう?この階級(?)の仕組みが私にはイマイチわからないですが、「B級1組の2番手になったことが1期だけある」ということで良いでしょうか? 将棋の段級 - Wikipediaの「棋士の昇段規定」の箇所を見ながら書きました。

前回8話で零のマンションを訪れ一夜泊まっていった、零の義理の姉「幸田香子(こうだ・きょうこ)」は、零と松永の対局を「老いた犬の首を絞めに行くようなものでしょう」と表現しています。

プロ棋士歴40年という節目の年、松永は順位戦に負けてC級2組に降格するなら、棋士を引退するということでした。こちらも香子が言っていました。零が勝つと松永に引導を渡すことになる、と。ということは今、松永はC級1組ですか。

香子は「なぁんか心配なのよねぇ。あなたってこういうとき、わざと負けてあげたりしちゃうんじゃないかとか思っちゃって。だってほら、あなたって優しいから」と言っていました。勝っても負けても後味が悪くなるような、意地の悪い言い方です。

 

 

零vs.松永

松永は対局前にお参りをしていました。以前、零の先輩「松本一砂(まつもと・いっさ)」もお参りをしていた神社です。零もお参りをしようと訪れていましたが、松本が先にお参りをしていて、その様子を見てお参りせずに会場入りしていました。

松本はプロ棋士として40年もの長きに渡って盤上で生き死にの戦いをしてきた歴戦の勇士……とは程遠い、お爺さんでした。

対局が始まると、松永は零にとってお世辞にも強いとは言えないようです。ハッキリいうと弱い。対局前は、40年も歴があるなら百戦錬磨なはずでベテランならではの、心理戦を含めたあの手この手を使って零を苦しめるのだろうと、観ている私は思っていました。零自身も思っていたようですが見事に肩透かしを食らいました……。

 

穴熊囲い(あなぐまがこい)は、将棋において使われる囲い(守備の陣形)の一つ。居飛車・振飛車のいずれの戦法でも用いられる囲いである。囲うまでに手数はかかるものの最も堅い囲いの一つである。その堅牢さから比喩として用いられることもある。

穴熊囲い - Wikipedia

対局では、松永は「穴熊」という戦法を用いようとしてました。将棋を知らない私でも名前だけは聞いたことがある戦法です。守備陣形なのですね。しかし、松永は囲おうとするかと思いきやそうでもなかったり、囲っていた熊を穴から出してしまったり、零を激しく混乱させます。

ていうか、それ以上に松永自身が混乱をしていました……松永は行き当たりばったりで駒を指していたようです。誘い(罠)をかけても、零にバレバレでしたし、わざと負けようにもそれすら難しい状況に。いたたまれない……。

 

 

人格者(?)松永

対局は当然ながら零が勝ちました。勝ってしまいました。松永は顔を紅潮させながら「負けました」と負けを認めました。盤面に駒をぶちまけながら……。

対局後、零は松永と顔を合わせまいとエレベーターではなく階段を使って帰ろうとしましたが、松永も同じことを考えていたことで階段でバッタリと会ってしまい、驚いた拍子に松永は転んで床に額をぶつけてしまいます。

簡単な治療を受けた松永は、自分で勝手に転んで怪我をしたのに、付き添ってくれた零に逆ギレを起こして、彼にうなぎを奢らせていました……。いくら負けたからって65歳のお爺さんが高校生に奢らせる、というか「たかる」のはどうなのかと……。駒をぶちまける行為といい、年齢を重ねれば誰もが人格者になるなど、全く思わないですけど、ちょっと……凄く……あれです。

松永は鰻屋で「特上(4720円)」を頼み(零は竹の重、2100円)、酒も飲み、酔いが回ると二軒目へとハシゴをしようとします。結局ハシゴはしなかったみたいですけど、でもお土産は奢ってもらったっぽい。

夜になり松永が、良いところへ連れて行っていってやる、と零を連れて行ったのは、川の畔でした。荒川でしょうか。

そこで、松永は零との対局のことを話し始めます。零には髪の毛一筋も勝てる気がしなかった、会館に着くまではどうやって格好良く負けるかばかりを考えていた、史上だった5人目の中学生プロである零のことも知っていた、自分の将棋人生に幕を引きに来た死神のように見えた、ただただ恐ろしくそう思う己が情けなかった、対局室で正座をする零を見ると何と若く美しい死神なのだろう、幕を引く相手としてこれ以上ないと、そう思ったそうです。

いざ対局が始まると、正々堂々と戦って散るつもりだったのに、自分の中で「死にたくない」「負けたくない」気持ちが生まれてきたのだそうです。「将棋は好きですか?」と聞く零、「知らん……知るもんか」と応える松永。

「すんなり言葉なんぞで言い表せるものか!!」と、滝のような涙を落としながら叫びます。

 

 

おわりに

その後、引導を渡した零に、香子が電話をかけてきました。「へこんでいると思ったから慰めてあげようと思って」と、やはり意地が悪いです。しかし、零は言ってやります。「辞めないよ、松永さん。続けるって、将棋」と。

松永の生き様を見た零は何を思ったのでしょうね。酒で酔った勢いを借りているとは言え、65歳の男が大粒の涙を流しながら、(将棋を)好きとか嫌いとかそういうものを超越したものだと、心から言える人生なんて、凄く格好良いじゃないですか。

零と比較すると25歳でプロ棋士になったのは遅いのかもしれませんし、40年のキャリアで目ぼしいタイトルを取ったことがないことは、敗退の歴史なのかもしれません。自分より年下ばかりが相手で、その多くの人が自分を踏みつけて上へ上へと登っていきます。中学生でプロ棋士になった零はその象徴のような存在だったはずです。

40年間で何度も勝ってきたのでしょうけれども、それ以上に数え切れないくらいに何度も負けてきたでしょう。その都度悔しかったり情けなかったり羨ましかったり、様々な感情が自分を襲ってきて、それでもやっぱり勝ちたいと藻掻いて、でもやっぱり勝てなくて。

対局マナーは悪いし、孫のような年齢の子どもに逆ギレするし奢らせるし、ろくな大人ではないですけど、私は松永が好きです。人間臭くて。将棋を辞めたくない理由が「家で威張れなくなってしまう」からだとしても。

「皿を洗ったり孫を洗ったりさせられるぅ」には笑いました。

dysdis.hatenablog.com

 

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