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桐山零はカッコウ。幸田家に托卵し香子や歩を食いつぶし自立しました…辛く悲しいです - アニメ『3月のライオン』5話の感想

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毎週土曜日23:00より、NHK総合にてアニメ『3月のライオン』が放送されています。

 

3lion-anime.com

 

以下、最新話のネタバレ要素がありますので、バレても構わない方のみ下方スクロールをお願いします。

 

 

 

 

 

 

2016年11月5日の放送は5話 「Chapter.9 契約」「Chapter.10 カッコーの巣の上で」です。

 

 

イントロダクション

これは、様々人間が何かを取り戻していく、優しい物語。そして、戦いの物語。
主人公・桐山零は、長兄ころに事故で家族を失い、心に深い孤独を負う17歳のプロの将棋棋士。
東京の下町に一人で暮らす零は、あかり・ひなた・モモという3姉妹と出会い、少しずつ変わり始めていく−。

このようなイントロダクションです。

 

 

5話から登場した人物

5話に初めて登場した人物ではなかったと思いますけど、久々の登場だった人物が3人(4人)いたので改めて書いておきましょう。

まずは主人公の「桐山零(きりやま・れい)」の養父である「幸田柾近(こうだ・まさちか)」です。CVは大川透さん。零の実父の友人で、不慮の事故で家族を亡くした零を内弟子として引き取った人物です。プロ棋士八段、1話で零に負けていましたね。

「幸田香子(こうだ・きょうこ)」、CV井上麻里奈さん。幸田の実の娘で長女です。零にとっては4歳年上の義姉になります。気性も棋風も激しいそう。5話の回想シーンでは逆上して零を殴るシーンがありました。

「幸田歩(こうだあゆむ)」、CVは……そういえば台詞がなかったでしょうか。幸田の実の息子で幸田家の長男にあたります。年齢はどうだったでしょう、言及されていたかもしれませんが聴き逃しました。見たところ零と近い年齢です。香子のような希少の激しさはなさそうですけど、絶対に零のことをよく思っていないですね。

それと幸田の妻も出ていました。幸田妻の名前はないみたいで、CVは大福弓子さん。回想には零の父の登場していました。

零パパも名前はなく、CVは利根健太朗さん。零の祖父、CV中博史さん。他、むなく○悪い親戚がちらほら。ちなみに、零の幼少期はCVが内山夕実さんでした。

 

 

5話 「Chapter.9 契約」「Chapter.10 カッコーの巣の上で」

今回は5話は零がどうして一人暮らしをすることになったのかが描かれました。零のここまでの人生、と言っても良いかもしれません。特にチャプター10のカッコー(の巣)というのは胸が苦しくなる表現です。

 

Chapter.9 契約

零は、普段から世話になっている「川本(かわもと)」家の長女「あかり」から頼まれて、三女「モモ」が通う保育園に行きモモを家に送ることになりました。帰り道で、モモは散歩中の犬に追いかけられ、逃げているところで転んで怪我をしていまいます。

零はモモを抱きかかえ、急いで川本家に帰って怪我の手当をしていると、ふと亡くした妹や両親のことを思い出します。擦り傷を負ったモモの腕を見て、霊安室に横たわった亡骸となった妹の様子がフラッシュバックしてきたようです……。

その日、零は遠足に行っていましたが、遠足から帰ると両親と妹は既に亡くなっていました。不慮の事故だったようです。「遠足から戻ると、僕の大切な父と母と小さな妹は冷たくて 硬い斑の塊になっていた」と言っていたでしょうか。何とも辛い表現です。

霊安室に横たわる遺体には布がかぶせてありましたが、妹の右腕部分と足先だけは布が足りていなかったのか、布から出て見えてしまっていて、その腕が零の記憶にこびりついていたようで、今回のモモの腕の怪我を見て記憶が蘇ったみたいです。

葬儀の場で零が独りでいると、そこへ亡き父の友人・幸田がやって来て「君は……将棋、好きか?」と聞いてきました。幸田のこの問いかけにどう答えるかで、零の人生は大きく変わってしまう分水嶺でした。幼少の頃から将棋は苦手だったようですけど、将棋をすることで父と一緒に過ごせることから、零は頑張って覚えていたのだそう。素直に好きではないと答えたら、施設に入れられることは避けられず、それからも避けるために好きではないのに零は、涙を流しながら「はい(好き)」と答えるのです。

「これが契約の瞬間だった。将棋の神様と僕の醜い嘘で固めた、嘘だった……。人生で初めての、生きるための……」という零の言葉が、サブタイトルの「契約」です。悲しすぎます。

しかし、これにより施設に入れられることを避けられ、幸田に内弟子として引き取られることで幸田の家で幸田の家族と共に過ごすことになります。そして彼は将棋を捨てられなくなりました。

 

Chapter.10 カッコーの巣の上で

チャプター10は零が幸田の家で暮し始めてからの話です。幸田は何より将棋を中心に考えて生活をしている男で、子供の香子と歩も将棋をしていました。特に香子は奨励会に所属するほどの腕前です。

零が幸田家に入ったことにより親子の関係が崩れます。幸田は元から零の才能を評価していましたが、その実力が香子や歩を上回るようになると、零を実子より特別扱いするようになります。おそらく幸田本人は自分が実子より零を特別視していることに気がついていないのでしょう。だからこそ香子や歩にとっては質が悪いのかもしれません。

幸田は、香子が零に勝てないとわかると、彼女に奨励会を辞めさせます。香子は将棋から離れ、外で遊ぶようになってしまいました。歩は自ら将棋を離れて部屋にこもってゲームばかりをしている子になってしまったようです。

内弟子として家に迎え入れられた、幸田の本当の子供ではない自分は幸田たちの教えを受け順調に育ってプロ棋士となり、本当の子供は将棋を辞めさせられたり辞めたりして、グレたり引きこもったり、まるで自分が托卵をする「カッコウ」のようだと思った零でした。

香子や歩の立場になると、零を嫌ったり憎んだり恨んだりするのもわからなくないですね。本当は幸田を恨むところかもしれないですけど、父は父ですから、彼らの怒りの矛先が血の繋がらない零に向かうことは想像に難くないです。

そして、零は中学3年生のときに高校進学を選ばず、将棋のプロを目指すことになりました。「プロになって頑張って少しでも成績を上げて、家を出よう」と言っていましたか。カッコウの雛のように、自分が幸田家の人たち、幸田自身を父さんを食い尽くす前に、できるだけ早く自立しようと考えるようになりました。

 

 

托卵(たくらん)とは?

托卵の際には巣の中にあった卵をひとつ持ち去って数を合わせる。本種のヒナは短期間(10-12日程度)で孵化し、巣の持ち主のヒナより早く生まれることが多い。先に生まれた本種のヒナは巣の持ち主の卵やヒナを巣の外に放り出してしまい、自分だけを育てさせる。 

カッコウ - Wikipedia

「カッコウ(郭公)」のWikipediaにはこのようにあります。カッコウは他の鳥の巣に、巣の持ち主がいない間に卵を産み、本来の卵より早く生まれて他の卵を巣の外へ出してしまい、自分が巣の持ち主から餌をもらって大きく育つ、ということですね。巣の持ち主はカッコウの雛を自分の子と思ってせっせと世話をするという……これが「托卵(たくらん)」です。

 

 

おわりに

将棋は努力も必要でしょうけど、やはりそもそもの才能がなければ、その上にいくら努力を重ねても一定以上の水準には到達しないでしょうし、プロの棋士になるためには、才能の中でもとりわけ優れた才能を持った人でないといけないのでしょうね。

幸田は零に「他人が説得しなきゃ続けられないようじゃ駄目」とか「自分で自分をメンテナンスできる人間しか、どのみち先には進めなくなる」とか言っていましたが、本当にそうなのだと思います。将棋の世界、勝負の世界に限らないですかね。

こうして今、零はマンションで独り暮らしをしています。幸田からもらったニットカーディガンを今でも大切にしていて、ほころびも自分で直して着ています。悲しい。

前回の記事にも書いたように、私は少し前に本の雑誌『ダ・ヴィンチ』2016年11月号に掲載された『3月のライオン』特集を詠みました。ですから今回のことも今後の展開も少しわかっていました。それでも重いものを感じましたし、今後の川本の次女「ひなた」のあれも重く感じられることでしょう。今から怖いです。

そういえば『カッコーの巣の上で』という映画(洋画)があったかと思います。40年くらい前のものです。私は観たことがないですけど、結構重い話なのでしょうね。

 

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