毎週水曜日23:00-23:30に放送されているEテレ『ふるカフェ系 ハルさんの休日』、2016年7月13日の放送は「埼玉・川口編」でした。
ふるカフェ系 ハルさんの休日
今、地方では過疎化が進み、何代も受け継がれてきた古民家が廃屋として次々と取り壊されつつある。そんな古民家を惜しみ次世代に残そうとする試みが、リフォームカフェ。
一歩足を踏み入れば、懐かしい空間が広がる古民家カフェは、女性や若者達に新鮮なおしゃれスポットとして大人気。京都、奈良の町屋カフェや下北沢の古民家喫茶など全国的にブームとなっている。そんな古民家カフェを舞台に、記憶から失われつつあるかつての町の姿と記憶をドラマ形式で甦らせていく番組。カフェを訪れる住民たちとの出会いを通して、全国各地の意外な歴史を明らかにしていく。
こちらは以前のシリーズのイントロダクションです。私は2016年の初め頃だったでしょうか、Eテレでこの番組の再放送をしていたことがあってそれを拝見したことがあります。
ドラマの冒頭に「古い建物を活かしたレトロなカフェがあると聞けば、全国どこへでも訪ねる」という、渡部豪太さん演じる「真田ハル」のセリフが入っていました。古くから営業している喫茶店ではなく、あくまで古民家など古い建物をリフォームしたカフェが対象になるようです。ハルさんはブロガーで、古カフェを取材しその模様をブログにアップする形で番組が進行していきます。
当番組は、カフェのオーナーもお客さんも現地の方を起用しているため、渡部さん以外の出演者は演技の素人さんで基本的には台詞が棒読みです。それを気にしない方でいられる方で、上記のような古カフェが好きな方には大いに楽しめると思います。
埼玉・川口編のカフェは「senkiya」さん
2016年7月13日の放送では、埼玉県川口市石神にある「築50年! “植木屋さん”の敷地が丸ごとカフェに!」というカフェ「senkiya」さんをハルさんが訪ねていました。
『ふるカフェ系 ハルさんの休日』はNHKの番組ですから、番組内で紹介された店名が明かされることはありません。唯一クレジットの中の「撮影協力」欄に店名が書かれていることで今回ハルさんがどのお店を訪れたのかがわかります。
今回の撮影協力、つまりハルさんが訪れたカフェは『senkiya』さんです。元々は「千木屋(せんきや)」という植木屋さんだったそうです。
「senkiya」さんのお店は川口市石神にあるようです。ハルさんはJR武蔵野線「東川口駅」から徒歩でお店に向かっていました。上記のWebサイト内アクセスページを拝見すると、東川口駅南口からバスで10分「新町」停留所で下車、同じく武蔵野線「東浦和駅」からもバスで10分、JR京浜東北線「川口駅」東口からバスで約30分、、南北線直通埼玉高速鉄道「戸塚安行駅」3番出口からバスで約5分などとありますから、公共の交通機関を使っても幾つかアクセス方法はあります。
「senkiya」さん(カフェ)の営業時間は水・木・金・土・日曜日の11:30-18:00とのことです。放送直後、特にお昼どきは混雑が予想されます。来店予定の方は予め連絡を取ってからにすると良さそうです。
senkiyaさん
前述したように『senkiya』さんは元々は植木屋さんでした。この辺りは元々「安行(あんぎょう)」と呼ばれる土地で植木屋さんが多かったそうです。senkiyaさんは植木屋の広い土地に雑貨、革製品、洋服、コーヒー豆、ベーグル、ギャラリー、設計事務所、植栽、自動車修理のお店も入っていて、植木屋さんの一家が住んでいた家屋をカフェとして改装して使っているとのことです。
senkiyaのカフェとして使っている家は築50年ということで昭和40年代に建てられた典型的な2階建ての民家です。懐かしさの漂う家です。ご主人の趣味が私には合っていて、建物内部の建具に使われている「装飾ガラス」がとても魅力的でした。
1960年代に流行した格子の一つ一つに光が宿る装飾ガラス「クロスペーン(クロスペン)」や、明治時代にヨーロッパから日本に伝わったストライプ状の板ガラス「モール」、1967年に製造され1970年代に普及した大中小の立体的な星形が特徴的な「銀河」、1963年に製造開発されガラスの彫り具合で様々な光沢が楽しめる「きらら」が紹介されていました。
銀河やきららの厚さが2mmの板ガラスは、叩くときに出る音がまた昭和を感じられて良いと、ハルさんとカフェの店主さんとコーヒー豆屋さんの店主さんの3人で盛り上がっていました。ハルさんが実際にガラス戸を叩いていましたが、確かに子供の頃が思い出される懐かしい音が鳴っていました……隣りのオバちゃんが回覧板を届けに来たときの音です……懐かしすぎて泣けます。
ランチプレートとハマボウフウ
ハルさんはランチプレートとあとコーヒーも頼んでいたと思います。コーヒーを飲んでいる描写はなかったでしょうか。見落としかもしれません。
ハマボウフウ(浜防風、学名:Glehnia littoralis)とは、被子植物のセリ科ハマボウフウ属の一種。 海岸の砂地に自生する[8]海岸性の多年草。 山菜として食用にするほか、漢方薬・民間療法薬として利用される。八百屋防風と呼ばれることもある[9]。
ランチプレートには「ハマボウフウ」という野菜が使われていました。漢字は「浜防風」で、川口の特産品なのだとか。江戸時代から使われていた食材で、特徴は赤い茎にあり、彩りを加えるためには必須のアイテムということでした。砂浜で育つ野草のため生産量が安定しなかったそうですが、植木の街だった川口はハマボウフウの栽培に適した土地のため生産地として選ばれることになったのでは、ということでした。
ハルさんは「いい歯ごたえ。湯通ししてあるのにしっかりとした食感。セリのようなほろ苦さもある」と評していました。
おわりに
カフェの店主さんは建物が好きなようで、カフェの2階のブックスペースには『月刊ビル』などが並んでいました。私は全く知らない雑誌でしたが、これは一度読んでみたいです。めっちゃ面白そうですね。
あとはやはりガラスです。大正ガラスも好きですけど、昭和中期を感じさせる装飾ガラスもとても魅力的です。子供の頃は自宅にも使われていましたし、近所の家でも親戚の家でもよく見る、日常にあふれたアイテムの一つでしたが、いつの間にか見なくなってしました。クロスペンも格好良いですね……食器棚に使われていた記憶があります。懐かしすぎる……。
senkiyaさんはスペース内にいくつもお店が建っているので、行けば半日楽しむことが出来そうです。一度行ってみたいです。