毎週金曜日の17:30-17:55にTOKYO FMで放送されている『コヤブカメラ』、2016年4月1日に第1回の放送があり、拝聴しました。
コヤブカメラ
ここは、東京の、とある街に存在するという一件の写真館。見た目は普通の写真館ですが、変わっていることがあります。この店の主人は、カメラとおしゃべりが大好きな芸人・小藪千豊。
さぁ今日も、芸能活動の合間をぬって、お店に立っているみたいですね。
ちょっとのぞいてみましょう!
このようなイントロダクションです。ちょっとあれな感じです。
『アメトーーク!』の「カメラかじってる芸人」
テレビ朝日『アメトーーク!』の2013年の放送に「カメラかじってる芸人」という企画の放送回があったそうです。私はこの放送を観ていないのですが、ネットで調べたところ様々な情報が出てきたのでそれらを拝見し、内容はある程度把握しました。
『コヤブカメラ』で小籔さんが本件について触れていました。上記NAVERまとめの記事を読む限り「カメラかじってる芸人」での発言を踏襲していたみたいです。
小籔さんの主張は、自分がカメラを趣味にしていることを知った一般の方が、自分もカメラ趣味なんですよと言いながら、こちらから頼んでもいないのに自分の撮影した写真(画像)を見せてきて、それを見てみると空や猫、犬、カフェでカプチーノを上から撮ったものだったりするのが嫌だったとか腹が立ったとか、そういうことでした(上記NAVERまとめにも発言内容が書かれています)。
注意しないといけないのは、空とか猫とかの写真を撮るな、とは小籔さんも言っていないことです。むしろカメラで何を撮るのもその人の自由だと。でも、それらを撮っているだけでカメラが趣味だと言ってこちらに見せるのは止めてくれ、というようなことを仰っていました。
空や猫や犬やカプチーノなどをカメラで撮るくらいなら、家族など大切な人との思い出を写真に収めて欲しい、カプチーノの写真を撮るにしても、カップの奥に、例えば恋人の姿を入れるようなことをしましょう、ということのようです。
ただし、「そういうのを撮ることをカメラが趣味とは言わないで欲しい」的なこともラジオでは仰っていて、そう言ってしまうとそれまでの発言を台なしにするなぁ、と残念に感じました。
結局は「カメラが趣味とは言わないで欲しい」と仰りたいだけだと受け取れてしまいます。また、そこに彼の蔑みが含まれているようにも感じられるのです。
森山大道さんは犬も撮る
以前、当ブログでも紹介しましたが、雑誌『BRUTUS』2016年3月1日号では「森山大道と作る写真特集 - Brutus No. 818」という特集が組まれていました。
そんな写真家・森山大道さんの代表作の一つが「三沢の犬」です。おそらく黒い毛(濃い茶色かも)をした犬が尾を向けカメラの前に立っていて、顔だけがこちらを向けている様子を写した写真です。知性が排除され狂気だけを宿したようなその黒犬の表情は、見る人の心に緊張感を宿らせます。
でも「犬の写真」です。
三沢の犬が何のカメラで撮られたかはわかりませんけど、森山さんは今コンデジ(コンパクトデジタルカメラ)を使って写真を撮っていらっしゃいます。前述の雑誌の中で、使うカメラは「写ルンです」でも「スマホ」でも何でも構わないと仰っていたと思います。うろ覚えですので発言の細部は異なるかもしれません。
小籔さんの意見に対する私見
私は小籔さんの意見には、同意できるところもできないところもありました。
大切な思い出を撮るという点は同意できます。思い出だけを撮るものでもないと思いますけど。しかし、空や猫、犬、カプチーノを上から撮っている人だって、自分はカメラが趣味だと主張して良いと思いますし、そこに思い出がないとは限らないと思います。
小籔さんにとっては、カメラでカプチーノなどを撮ることが思い出にもならないし、撮影対象にならないのかもしれません。でもそれはあくまで「小籔さんの価値観」でしかないのです。空や猫、犬、カプチーノに価値を見出している人だっているということです。思い出が込められることもあるでしょう。
小籔さんが大切に思っている家族の写真が、小籔さんにとって価値の高いものであっても、小籔さんやご家族に関心のない私のような人間が、その写真を見ても大した感慨が湧かないのと似たようなことです。
だからといって小籔さんの家族写真には撮る価値がないとは私は全く思いません。写真を撮る人にとって価値があると思って撮られた写真を赤の他人に否定されたら、それは嫌だろうなと思うのです。
人によって、写真撮影の目的が「記録」とは限らない、ということもあるでしょうか。写真が自己表現の手段である人だってたくさんいらっしゃるはずです。価値の多様性を認められないのは悲しいことです。
ただ、前述したこちらが頼んでいないのに画像を見せるのは止めて、という気持ちはとてもよくわかります。私も小籔さんの立場に立ったら嫌な気持ちになると思います。でもそれは礼儀の話であって、写真の撮影対象云々、カメラが趣味であることとは別の話でしょう。
小藪千豊さんは写真は上手いのかどうか?
小籔さんはどのような写真を撮るのだろうかと上記の記事を拝見しました。子供さんの後ろ姿の写真と、松島で船の上から飛んでいる鳥を撮った写真の2枚があったでしょうか。松島の鳥の写真は3,000ショットのうちの1枚だそうです。うへぇ。
Nikon(ニコン)のWebサイトにインタビュー記事があり、その中で小藪さんの作品が載っていました。その中に『アメトーーク!』での2作品もありますので、小籔さんの作品を見たいならこちらの方が良いかもしれません。
小籔さんが使っているカメラは「Nikon」のフルサイズ機「D700」で、使用レンズは「AF-S 35mm f/1.4G」のようです。
写真を見た感想は「普通」です。特別な上手さは感じませんでした。構図が別段優れているとは思えないですし、Nikonのサイトにあるお子様を写した作品も、主題がどこにあるのかがわかりづらい作品が幾つかありますし。鳥の作品にしても、餌付けしながら3,000枚も設定を変えつつ撮っていれば1枚くらいは当たりを引くだろうなぁ、と思うくらいです。
しかし、全ての写真において露出や構図を気にして撮影していらっしゃることは伝わります。技術や知識もおそらく私よりずっと上でしょう。
おわりに
『コヤブカメラ』の第1回はイントロダクション的な内容でした。番組の内容説明をしたり、上記の『アメトーーク!』での発言を説明して再主張していたり、番組が始まったことのお祝いメッセージを「チャットモンチー」や「PUFFY」から受け取っていたりしていました。
面白かったかは……こうしてブログに感想を書き記しているくらいですから、良くも悪くも印象に残ったのでしょう。次回以降を聴くかどうかは未定です。