ディスディスブログ

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Eテレ『浦沢直樹の漫勉』の、古屋兎丸さんのデジタルツールの使い方が興味深く、鉛筆画が驚きでした

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木曜日23:00からEテレで放送されているドキュメンタリー番組『浦沢直樹の漫勉』、2016年はシーズン2(実質シーズン3)です。2016年3月24日放送されたシーズン2第4回に出演した漫画家は「古屋兎丸」さんです。

 

 

 

 

漫勉とは?

www.nhk.or.jp

 

日本を代表する漫画家さんたちの制作現場にカメラが入り、撮影された映像を、本人と漫画家の「浦沢直樹(うらさわ・なおき)」さんとで見ながら、どのような手法で描いているのか、どのような道具を用いて描いているのか、どのようなことを考えながら描いているのか……などを話す番組です。浦沢直樹さんは「YAWARA」「20世紀少年」「MONSTER」などを描いた方ですね。

 

漫勉シーズン2第4回は「古屋兎丸」さん

 

今回の放送は「古屋兎丸(ふるや・うさまる)」さんでした。毎回書いていますけど、私は古屋さんを全く知りませんでした。作品も読んだことがありません。番組では「帝一の國」というタイトルの漫画を描いている様子が収められていました。

 

古屋 兎丸(ふるや うさまる、男性、1968年1月25日[1] - )は、日本の漫画家。東京都出身[1]。多摩美術大学美術学部絵画科(油絵専攻)卒業[1]。

古屋兎丸 - Wikipedia

 

古屋兎丸さんのWikipediaにはこのようにあります。多摩美を卒業というと前回シーズン2第3回の五十嵐大介さんと同じですね。彼も油絵専攻だった気がします。年齢も近いので当時から知り合いとかそういう関係の可能性も低くなさそうです。

 

 

古屋兎丸さんのデジタルツールの使い方

デジタルツールを使って絵を描く漫画家さんは、これまでの漫勉でいうとシーズン1の「浅野いにお」さんとシーズン2の「花沢健吾」さんがそうだったと思います。

今回の古屋兎丸さんも、Photoshopか何か具体的なソフト名まではわからないものの、デジタルツールを使っていました 。ただし、古屋さんのソフトの使い方は他のお二人とは異なっていて、アナログ寄りといいますか、アナログを活かすためのデジタル、的なソフトの活用方法だったように感じています。

例えば、見開きページを描くときに、アナログで描いたネームをソフトで読み込み、そこからデジタルでオブジェクトのアタリを付けてから、最終的にはアナログ、それも鉛筆で絵を描いてページを完成させる、という手法を採っていました。

浅野さんは、デジタルカメラで撮影した背景をソフトに落とし込んで、そこへ自ら書き込みをして漫画に馴染ませていく手法を採っていたかと思います。同じようにペイントソフトを使ってはいるのですがその方法は全く異なるもので大変興味深かかったです。

古屋さんは「猿の角度を変えたり大きさを変えたりとか、コンピュータの一番良いところは僕はアタリにあるんじゃないかとすら思っていて……“動かせる”という」と仰っていました。その様子を見た浦沢さんも「見開きのデザインはコンピュータ上でやるのは本当に良いね」と同意していました。

確かに、オブジェクトをそれぞれ拡大縮小、角度変更、配置変更など思いのままですから、見開きページのような情報量の多いページになればなるほどデジタルの良さは出そうですね。全てがアナログだといちいち鉛筆で描いて消して描いて消してを繰り返すと時間も労力もかかりそうですけど、デジタルなら保存しておきさえすれいつでも過去の状態を呼び出せますし、レイヤーを使えばオブジェクトの複雑な配置も簡単に管理できますし、使いこなせさえすれば大幅に作業を短縮できそうです。しかしデジタルでやれるようになると、デジタルならではの描き方があるでしょうから、描く手段が増えることによる新たな迷いが生じそうではありますが……難しいですね。

私は漫勉を見るまで、漫画というものはGペンや丸ペンを使って描かないといけないのだと思い込んでいました。固定観念がありました。ところが漫勉を見ていると必ずしもそうではないのだということに気付かされました。今回の古屋さんの鉛筆でページを完成させたこともそうですし、前回の五十嵐さんのボールペンでの書き込みもそうですし、マッキーで描いても筆ペンで描いても、出来上がった絵が漫画になっていれば、それを描くツールは何でも良いのだと、まさに目から鱗が落ちることを何度も目の当たりにしています。

 

 

今後『漫勉』で取材してもらいたい漫画家さん

『漫勉』は漫画家さんが漫画を描いているところが見られるだけでなく、漫画家さんの漫画に対する姿勢や考え方もわかって、意見を聞けるだけでとても面白いです。今回の古屋兎丸さんの回でシーズン2は終了してしまいましたが、2016年9月にシーズン3が放送されることが明らかになっていますので、9月を楽しみに待ちます。

今後、『漫勉』で取材していただきたい漫画家さんはたくさんいますけど、個人的には水木しげるさんは生前に取材していただきたかったです。本当にもったいなかったなと。といっても水木さんはもう旅立ってしまわれたので、その機会は永遠に失われてしまいました。今何を言っても仕方がないことです。

失礼ながら、そういう意味で意見を伺っておいた方が良いのではと思うのは、藤子不二雄Aさんと松本零士さんと楳図かずおさんです。このお三方の漫画の考え方や描いている姿は映像に収めておいた方が良いと思っています。

私は今はジャンプを読んでいないですが、かつてはジャンプが大好きな人間だったので、「ワンピース」の尾田栄一郎さんや「NARUTO」の岸本斉史さん、『DEATH NOTE』の小畑健さん、「ドラゴンボール」の鳥山明さん、「SLAM DUNK」の井上雄彦さん、「HUNTERXHUNTER」の冨樫義博さんは見てみたいです。鳥山さんと冨樫さんは厳しいでしょうか。

サンデーで言えば、「タッチ」のあだち充さんと「うる星やつら」の高橋留美子さんは見たいです。私は読んだことがないのですが「名探偵コナン」の青山剛昌さんも需要が大いにありそうです。私にとっては青山さんというと「YAIBA」なのですが。お三方の中でなら特に高橋留美子さんは絶対に見たいです。

他でいうと安彦良和さんやあずまきよひこさん、古谷実さん、松本大洋さん、木尾士目さんは見てみたいです。私が好きな漫画家さんを挙げただけです。松本大洋さんは「竹光侍」を描いているときに取材していれば、あの絵柄がどのように生まれていたのかを知ることができたのに……と。

 

 

おわりに

前述したように、シーズン2は古屋兎丸さんで終わりです。シーズン3は9月からだそう。

古屋兎丸は鉛筆画が特徴的な方でして、背景を描くときに左手も使って両手で同時に描いていました……驚きです。利き手ではない側で自然物を描くとかえって自然になるというのは面白かったですね。それを浦沢さんは「草とか自然物って作為が入らない線の方が良い」「思ってもみない線が入ると良いんだよね」と仰っていました。

あと驚いたのが「鉛筆の芯を削って粉にして、それを水に溶いて薄墨にして」描いていたことです。乾くと練り消しゴムで消せるしティッシュで抑えることでぼかせられるということでした。これは目から鱗でしたね。浦沢さんも「はぁ〜」と感嘆していました。

毎回45分間があっという間で今回も面白かったです。楽しめました。漫画家が100人いたら100通りの漫画の描き方があるというのは本当のことなんですねぇ。信じていない訳ではなかったですけど、『漫勉』を見て実感できました。

古屋兎丸さんの放送回はおそらく日曜日の深夜に放送されると思います。見逃した方は是非とも再放送をご覧になってください。

 

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