サッカーAFC U-23選手権2016カタール決勝「日本vs.韓国」の試合が、カタールの首都ドーハにあるアブドゥラー・ビン・ハリファ・スタジアム (Abdullah Bin Khalifa Stadium) で行われました。U23日本代表は準決勝のイラク戦に勝利し、「オリンピック2016リオデジャネイロ大会」への出場権を得ています。
日本 3 - 2 韓国
決勝の試合は、20分に韓国のクォン・チャンフンが先制し、47分に韓国のチン・ソンウが追加点をあげて2点差、66分に日本の浅野拓磨が1点を返し、68分に日本の矢島慎也が得点して同点に、81分に1点目と同じく浅野が得点して逆転、日本がスコア3 - 2で韓国に逆転で勝利し、劇的な優勝を勝ち取りました。
日本のメンバーは、スタメンがGK櫛引政敏（鹿島アントラーズ）、DF室屋成（明治大学）、岩波拓也（ヴィッセル神戸）、植田直通（鹿島アントラーズ）、山中亮輔（柏レイソル）、MF遠藤航（浦和レッズ）、大島僚太（川崎フロンターレ）、中島翔哉（FC東京）、矢島慎也（ファジアーノ岡山）、久保裕也 (Young Boys) 、オナイウ阿道（ジェフユナイテッド千葉）です。交代は46分オナイウ→原川力（川崎フロンターレ）、60分大島→浅野拓磨（サンフレッチェ広島）、74分矢島→豊川雄太（鹿島アントラーズ）です。
やっぱりチーム力の勝利
準決勝のことを書いた記事で、今大会の日本は劇的なゴールが多いと書きましたが、決勝の韓国戦もその例に漏れず劇的でした。得点が劇的というより試合展開が劇的でしたね。まさか90分間で0 - 2から逆転できるとは……想像ができないです。漫画みたい。
韓国はポゼッション、日本は守ってカウンターという、これまでの両国のイメージとは真逆のサッカーをそれぞれがしていました。が、逆転されてからの韓国は、足が止まったこともあって、背の高い選手を入れて、ロングボールから高さや強さで強引にゴールを割ろうと意図したサッカーに切り替えており、その点では韓国の特徴が消えている訳ではないのかなという印象です。
日本としては相手の狙いが明確になったことで、かえって守りやすくなっていた気がします。日本のセンターバックは植田と岩波という、身長が180cm台後半の空中戦に強い選手です。韓国が高さで勝負をしてくれる分にはあまり心配がありませんでした。
それよりも失点シーンのように、2人が同じような特徴があるが故に弱点も共通してあるように感じられます。オーバーエイジ枠 (OA) にCBが候補に入るのでしょうか。手倉森誠監督は彼らとは別の特長を持った選手を入れようとするかもしれませんね。個人的には、CBよりも左サイドバックの山中のところにこそOA枠を使った方が良さそうに感じています。OAを使うのなら。
チーム全体としては、期待されていなかった世代ということと、結果もなかなか出ていなかったことがあって、彼ら自身がそれを認めた上での雑草感が良い結果に結びついているのかな、という印象を持ちました。私の中でサッカー日本代表には巧いけどもろいイメージがありました。しかし、今大会のU23日本代表は、期待されていない&結果が出ていない自覚を持っているからか、そこからの反骨精神で結果を残しているように見えました。
結果はこれ以上ないくらいに素晴らしいものです。でもやはり個人個人の能力を見ると相手の韓国の選手が優っていたように感じられ、その印象は準々決勝イラン戦と準決勝イラク戦でも同じものを感じています。櫛引を始めとする守備陣の踏ん張りと謎の決定力の高さ、チームとして守備→カウンターを進める割り切りにこそ、このU23日本代表の強さがあるという。
おわりに
代表戦であれほど盛り上がった試合は、最近ではほとんどなかったように思います。
前述しましたが、手倉森監督率いるU23日本代表は、結成当時からメディアから期待されていなかったようですし、実際にネットなど世間でもあまり扱われていなかったかと思います。大会前どころか、大会が始まってからも日本国内のネットで大きく話題に上がっていたか、盛り上がっていたかと言えば否でした。チームが勝ち上がって行くに連れてネットでも次第に盛り上がりを見せるようになりました。
そんな中で得られたオリンピック出場権と大会優勝です。これからは今までのようには行かないはずです。メディアから強いプレッシャーに晒されるでしょうし、世間から大きな期待を寄せられるでしょう。そうなってから彼らのサッカーがどのように変化するのか、あるいは変化しないのか、注目して見ていきたいです。基本的には本大会の対戦相手国はアジアより強いチームになりますから、今大会のサッカーを継続・強化させていく方向になろうかと思いますが。
兎にも角にも、手倉森監督とU23日本代表の選手たち、オリンピック出場権獲得&大会優勝おめでとうございます。韓国も良いサッカーを見せてくれてありがとうございます。両チームの力闘がなければ、試合がここまで面白くならなかったと思います。
