サッカーAFC U-23選手権 準決勝「日本vs.イラク」の試合が、カタールの首都ドーハにあるアブドゥラー・ビン・ハリファ・スタジアムで行われました。この試合に勝利すると「オリンピック2016リオデジャネイロ大会」への出場権を得られる、非常に大切な試合でした。
日本 2 - 1 イラク
試合は日本の久保裕也が26分に先制し、前半終了直前の43分にイラクのナジが得点して同点に、試合終了直前の92分に原川力が突き放して、日本がスコア2-1でイラクに勝利し、劇的な五輪出場決定となりました。
日本のメンバーは、スタメンがGK櫛引政敏（鹿島アントラーズ）、DF室屋成（明治大学）、奈良竜樹（川崎フロンターレ）、植田直通（鹿島アントラーズ）、山中亮輔（柏レイソル）、MF遠藤航（浦和レッズ）、原川力（川崎フロンターレ）、南野拓実 (Salzburg) 、中島翔哉（FC東京）、FW鈴木武蔵（アルビレックス新潟）、久保裕也 (Young Boys) です。交代は68分に鈴木→オナイウ阿道（ジェフユナイテッド千葉）、78分久保→浅野拓磨（サンフレッチェ広島）、95分中島→豊川雄太（ファジアーノ岡山）です。
チーム力の勝利
上にリンクを貼った『NumberWeb』さんの記事にもあるように、選手個人の力を比較すれば日本よりイラクの方が優っていたと思いますが、チーム力で勝利した印象が強いです。
大会では、招集された23人中22人を起用していたことで、選手を固定させない効果が現れていました。ほとんどの選手がオリンピック出場権を争う真剣勝負の試合を体験できたこと、気候やピッチコンディション、選手・審判の特徴など中東独特のものを体感できたこと、多くの選手が出場できたことで疲労の蓄積を少なく抑えられたことなどが挙がるでしょうか。
それらがイラク戦の終了間際の原川の得点や、イラン戦、延長戦での中島のゴラッソ2発にもつながっていたのではないかと、確かなことはわかりませんけど、遠因としてはあるかもしれないと思わせます。
A代表で見てみたい選手は？
U-23日本代表の勝利にセルジオ越後氏「宿題も残った」 - ライブドアニュース
セルジオ越後さんは、イラク戦後に「選手個人としてはA代表で活躍できるほどのプレーを見せた選手はいなかった」と仰っていたようです。
この世代はここまであまり良い成績は残せていない印象がありますし、今大会を見た後でもイラク戦やイラン戦は個人の力は相手が上回っていた印象がありますから、A代表で「活躍」できるかと言われると確かにそうかもしれないです。
しかし、ゴールキーパーの櫛引とディフェンダーの室屋と植田、フォワードの久保の4人は、A代表でも見てみたい人材に感じられました。前述のとおり、A代表で活躍できるかは現段階では何とも言えないものがありますけれども、特にイラク戦では4人の中でも室屋が出色の出来でしたから、A代表で試してみても良いのではないかと感じます。ワールドカップ2018ロシア大会に向けて若手を育てる必要もあるでしょうし。
イラク戦での室屋は、クロスも良かったですけど、それ以上に守備時のポジショニングに良さが出ていました。彼がいた日本の右サイドがやられた印象がほぼありません。ただ、今のA代表が良いサッカーをしているとは思えないので、A代表に呼ばれたとしても彼の良さが出るかはまた別の話かなと。
おわりに
日本代表のサッカーは、監督の手倉森誠さんが作り上げたような、まずは守備組織をしっかりと整える組織作りが合っているのかなぁと思います。過去を思い返すと、トルシエさんにしても岡田さんにしても、ワールドカップなど大きな大会で良い結果を残した日本代表は、守備力が高い印象がありますので。組織力というか。
日本人には既に組織が備わっているのだから、これからは個だとか何とかどなたかが言ったことで、様々な論争が巻き起こっていた時期もありましたが、個人的にはそういうことには不毛さを感じていました。今回の手倉森さんのチームを見て、日本サッカーの在り方のようなものを再確認できた気がしてします。
今大会、他チームを観ていて思ったのは、各国ともGKの育成に苦労しているかなということです。翻って日本は、櫛引も杉本も良かったですし、あと柏レイソルの中村航輔もいますから、その点ではしばらく安泰でしょうか。
それにしても、今大会のU23日本代表は劇的なゴールが多くて、観ていて熱くなりました。面白い試合が多かったです。A代表の試合がつまらないと感じられることが多いので余計に。
