昨日2015年7月4日土曜日放送された『美の巨人たち』は、2週にわたって人気キャラクターを“芸術”の視点でひも解く“懐かしの人気キャラクターSP”でした。一週目は成田亨の「MANの立像」でした。
ウルトラマンのデザイン、怪獣についての言及は非常に新鮮でした。意外性と抽象化。
『ウルトラQ』のガラモンは魚のコチから
大怪獣シリーズ ガラモン (PVC製塗装済み完成品一部組立て式)
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カネゴンの口はがま口、お腹が膨れているのは当時妊娠中だった奥様からヒントを得
ケムール人はエジプト絵画の技法シンクロナイゼーション(顔は横向き体は正面といった描きやすい角度を組み合わる)から
誰もがどこかで見た要素がありながら、誰も見たことがない新しい形に仕立て上げる。
ウルトラマンのデザイン決定の流れが特に面白かったです。1965年の「ベムラー(ウルトラマン)初稿」から、1966年の「ウルトラマン初稿」、同年の別の「ウルトラマン初稿」、そして私達の知っているウルトラマンへとデザインが移っていく様子が紹介されていました。
ベムラーは、鱗のような宇宙服か甲か分からないものを身にまとい、顔は目がウルトラマンのそれに近いものの、ほぼ怪獣のそれで、グロいシルエットです。ウルトラマン初稿も薄い黄色に青緑のラインが体に入った、半魚人的な怪獣でした。まだグロい。ヒーローのイメージからは程遠かったです。
別のウルトラマン初稿になると、最終的なウルトラマンに近いシンプルなシルエットに変化していました。銀の体に赤のラインが入って、目や鼻や口は人間のそれで、ゴーグルのようなものを掛けているかのような。頭の突起はありました。
これはギリシャの哲学者プラトンの言葉「混沌であるカオスに対する秩序たるコスモス」がヒントになり、様々なパーツを合成した怪獣がカオスなら、ヒーローは単純で美しいコスモスでなければならない、と。
さらにシンプルなコスモスとして、最終的なウルトラマンのデザインになったいうことでした。ウルトラマンとは初代のことですね。マン。決定稿ではなく後に描かれた絵が画面には載せられていました。Wikipediaを読む限り決定稿は存在しないっぽい。
決定されたデザインにはカラータイマーがありませんでした。成田亨の「MANの立像」にもなかったです。制限がないとやりたいことをやれてしまい盛り上がりに欠けるから、あえて3分間という活動制限を設けることにしたのだそう。演出としての後付けということ。
また、ウルトラマンの笑っているような、口角が上がるデザインは、ギリシャ彫刻のアルカイック・スマイルから採っているそうです。
他に、もレッドキングやゴモラ、ペスター、怪獣としてのベムラー、ザラブ星人、ジャミラといったところのデザイン画も紹介されていました。バルタン星人やゼットンはなかったかな?
子供の頃、ウルトラマンが大好きでした。ウルトラセブンもウルトラマンタロウも、レオも、A(エース)も好きでしたけど、やはり初代です。仮面ライダーよりもゴレンジャーなどの戦隊ものよりもウルトラマンでした。ウルトラマンが放送された1966-67年当時は私は生まれていません。見たのは再放送。
最終回、幼い頃の私はウルトラマンが負けるだなんて夢にも思っていなかったので……ゼットンによって地球がどうされてしまうのか、恐ろしくなった思い出があります。人生最初に経験した絶望です。家で大騒ぎしていたらしい。ゾフィーって何ぞ!という。
ウルトラマン消しゴムも持っていました。ガチャポン、私の住んでいた地域ではガチャガチャと呼んでいました。ペスターが出て来た時のハズレ感ったらなかったです。バルタン星人やゼットン、レッドキング、ゴモラ……この辺りはアタリでした。バルタン星人なんて大当たりです。
次週の『美の巨人たち』の“懐かしの人気キャラクターSP”は、トーベ・ヤンソンの「ムーミン」ですって。ムーミンも大好きなので楽しみ。ムーミンのデザインもかなり変わっていますものね。